/

菊池寛が見たスペイン風邪 小説「マスク」ウェブ公開

菊池寛の小説「マスク」について話す、菊池寛記念館学芸員の福江成美さん=共同

高松市出身の文豪・菊池寛が1918~20年に流行したスペイン風邪の体験を基に書いた小説「マスク」を、同市の菊池寛記念館がウェブサイトで公開した。30代前半の菊池が感じた恐怖や、マスク着用を巡る他人とのずれに落ち着かない心持ちを主人公に託した短編。学芸員は「新型コロナウイルス感染が流行する現代にも通じるものがある」と説明する。

スペイン風邪はウイルスがまだ見つかっていなかったインフルエンザのことで、世界で6億人が感染し数千万人が死亡、日本でも38万人が死亡したとされる。この時期、菊池は感染症に直面した人々の心情を描いた作品を3作発表した。

今回公開した「マスク」は20年7月、文芸誌「改造」に発表された。

心臓が弱く、高熱が出れば助からないと医者に言われ、マスクやうがいで予防にいそしむ主人公。街中でマスクを着けている人を「頼もしい」と感じる一方、次第にマスクが煩わしくなってくる気持ちの変化、自分が着用をやめた初夏にマスクを着けた男に遭遇した際の動揺を描く。

他人を気にしながらマスクを着け、同調しない人には非難のまなざしを向ける現代日本人の姿にも重なる。

今回は公開していないが、同時期の作品には、嫌われ者の新聞社員がスペイン風邪で死に、葬式に行きたくない同僚がくじ引きで出席者を決める「簡単な死去」もある。

学芸員の福江成美さん(37)は「体の弱かった菊池は感染症による死を身近に感じていた。優れた洞察力で描かれた小説内の人間模様に触れてほしい」と話した。

作品は同館を運営する高松市の「おうちでまなぶ菊池寛」のページからダウンロードできる。〔共同〕

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン