豪華観光列車、コロナ対策とり再発進 JR東など

日経MJ
2020/9/2 10:30
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JR東日本の豪華観光列車「トランスイート四季島」が8月に新型コロナ対策を徹底して運行を再開した。旅の節々で消毒や密集状態回避を図りながらも、旅行の満足感を阻害しないよう工夫した。同社の看板となる観光列車の再開で地域の活性化にもつなげる。

トランスイート四季島の車両

食堂車では一部テーブルの間に仕切りを設けた

トランスイート四季島は展望車両や食堂車、ラウンジまで備えた寝台列車だ。1~3泊で関東甲信越や東北を巡る行程は1人あたり数十万円からと高価だが、従来は予約が抽選になるほど人気だった。新型コロナで4~7月は運休を余儀なくされ、約600人分の旅行が催行中止となった。

再開に際し、JR東は感染対策を独自にまとめた。ツアー開始前に加え、ツアー中も毎朝検温するなど体調を確認する。客室やラウンジ、立ち寄る施設の入り口には消毒剤を設置。飛沫感染対策で出発前のセレモニーでは乗務員紹介を短縮するなど内容を変更した。

食堂車では夕食の時間を2回に分けるなどして密集状態を防ぐ。医療機関の監修を受けて座席同士の間隔を広げたほか、一部のテーブルの間には仕切りを設けて飛沫の拡散を抑える。

感染防止策と満足度の両立には特に配慮した。料理長が席ごとに料理を説明していたサービスを印刷物の配布に切り替えるなどで、感染対策をしながらも食事の楽しさや満足度を損なわないよう「様々な対策を試行錯誤して新たな旅行の様式を模索する」(JR東担当者)という。

四季島は受け入れ先の自治体とも連携し地域観光を支えてきた。訪問地では首長自らが参加者を歓迎に訪れるなど、地域からの期待も大きい。JR東の高橋弘行営業部長は「新型コロナで地域経済が厳しい状況だからこそ、四季島の運行再開で貢献したい」と話す。

JR東の20年4~6月期の連結決算は1553億円の最終赤字(前年同期は915億円の黒字)だった。足元でも回復の糸口はつかめておらず、テレワークの普及などから8月3~7日の朝通勤時間帯の山手線利用は2月初旬と比べて39%減った。

今後も通勤需要の減少が見込まれるなか、付加価値の高い高級列車の利用をより促して収益を確保したい考えだ。

他社も各地で感染対策を徹底して観光列車の運行を再開している。JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」は新型コロナによる運休の後も7月の豪雨のため再開を延期していたが、8月15日に再び運行を始めた。乗客の定員を30人から16人に減らし、検温やマスク着用を徹底する。

東急とJR北海道が共同運行する「ザ・ロイヤルエクスプレス」の道内ツアーはコロナ対策のため、今夏は催行回数を5回から3回に日程を減らす。座席を間引き、買い物の精算はキャッシュトレーを利用する。

豪華観光列車は2013年に「ななつ星」の運行開始で周遊型の旅が改めて注目され、17年に四季島やJR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風」が登場した。富裕な訪日客にも人気が高まっていたが、当面は利用が見込めない。コロナ対策が認知され、国内客に安心して選んでもらえるかが当面の課題となりそうだ。

(野元翔平)

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