コロナ禍で原発訓練開催 福井県、対策両立へ試行錯誤

2020/8/31 2:00
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福井県などは8月27日に原子力防災訓練を開催した。原子力発電所事故の広域防災訓練としては全国で初めて、新型コロナウイルスの感染防止対策を取りいれた。訓練での感染拡大を防ぐため、期間や参加者の規模を縮小した。実際の事故発生時には多くの避難者らが動く。被曝(ひばく)と感染症の対策両立に向けて試行錯誤が続く。

一時集合施設の入場には検温が必要だった(27日、福井県おおい町)

一時集合施設の入場には検温が必要だった(27日、福井県おおい町)

午前8時30分ごろ若狭湾沖で地震が発生し、大飯原発3号機、高浜原発4号機が外部電源を喪失した――。訓練はこのような想定のもとで実施された。福井県おおい町大島地区の住民ら50人が一時集合施設の「はまかぜ交流センター」(同町)に集まり、うち30人は敦賀市の避難所にバスで移動した。

一時集合施設にはソーシャルディスタンス(社会的距離)確保のため、家族ごとに使える簡易テントを設置した。受け付けで簡易防護服を着た町職員が全員を検温し、体温が37.5度以上あると「感染疑い者」として別室で待機となる。バスの座席には飛沫感染防止用のシートをかけた。いずれも新しく策定された広域避難計画やガイドラインに沿ったものだ。

「事故が起こったら感染症より被曝のほうが怖いんだけどな」。参加した住民からこんな声が漏れた。一時集合施設の設営には通常より多くの職員が必要だったほか、屋外には検温待ちの行列ができた。気温30度を超える炎天下のなか、規定の体温を上回った10人ほどが日陰で再計測した。放射性物質を入れないようにするため、窓を開けて換気することも難しい。

ソーシャルディスタンス確保のため簡易テントが設置された(27日、福井県おおい町)

ソーシャルディスタンス確保のため簡易テントが設置された(27日、福井県おおい町)

今回の訓練に参加した住民は、複数の自治体をまたいで開催された19年(約1000人)の20分の1にとどまる。それでも感染の疑いのある避難者と分けるため、通常なら1台で済むバスが4台必要になった。実際に原子力災害が発生したら、桁違いの人数を移送しなければならない。

訓練後の講評で桜本宏副知事は「県立施設を含めてより多くの避難所を確保する。県内にバスは900台あるが、どれだけ動かせるかを詰める必要がある」と話した。新型コロナの終息時期が見通せないだけに、被曝と感染症のいずれのリスクも抑えるという難しい課題を課されている。

(鈴木卓郎)

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