安倍首相の持病、潰瘍性大腸炎とは 国内患者22万人

菅内閣発足
2020/8/28 14:37 (2020/8/29 4:40更新)
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新型コロナウイルス感染症対策本部の会合に出席した安倍首相(28日、首相官邸)

新型コロナウイルス感染症対策本部の会合に出席した安倍首相(28日、首相官邸)

安倍晋三首相の持病である「潰瘍性大腸炎」は大腸に炎症が起きて大腸の粘膜が傷つき、ただれたり潰瘍ができたりする。腹痛や下痢、血便などが主な症状だ。欧米で多いが、日本でも患者が増えており推定約22万人に上る。発症原因は分かっておらず、食生活の欧米化や遺伝子など複数の要素が絡んでいるとみられる。

安倍首相はこの病気の症状悪化により2007年9月、第1次政権の任期途中で辞任した。08年1月の月刊誌「文芸春秋」で、17歳で発症した持病の潰瘍性大腸炎が辞任の判断につながったと初めて公表した。その後、「アサコール」と呼ぶ新薬の登場などで病状が改善したという。

人体には、外敵から身を守る免疫機構が備わっている。潰瘍性大腸炎は大腸の免疫に異常が起き発症すると考えられている。発症には遺伝的要因と食事や腸内細菌の状態など様々な環境要因が重なっているようだ。完治は難しく、国が難病に指定している。

生命には直接関わらないものの、1日に何度もトイレに駆け込むなどの支障が生じる。ストレスなどは症状を悪化させる原因になる。杏林大学の久松理一教授は「生活の質(QOL)を損なうため、しっかり治療を続けて症状を抑えることが重要になる」と話す。

20~30歳代に発症する人が多いが、中高年や子どもでも発症する場合がある。患者は軽症が圧倒的に多い。中等症を含め、患者の多くは通院で治療を受けられるという。

この病気は腹痛などの症状がある状態と、治療で症状が治まった状態を繰り返すのが特徴だ。治療では治まった状態をなるべく保ち、再発を防ぐことを目指す。

症状に合わせて薬を投与し、効果があれば使い続けるのが基本だ。複数の薬があり、標的とする物質も異なる。「一つの薬が効かなくても他の薬を試せる」(久松教授)

薬がうまく効かない場合は、日本で開発された「血球成分除去療法」を実施することもある。人工透析に似た手法で、血液をいったん体外に出し、炎症を引き起こす白血球などの特定の血液成分を装置で取り除いてから体内に戻す。

「顆粒球除去療法(GCAP)」もこの治療法の一つだ。保険が適用されており、治療は基本的に週1回程度のペースで10回程度実施する。

重症の場合は、大腸を摘出する手術も検討される。大腸をすべて切り取り、小腸の一部を袋状にして肛門に縫い合わせる方法などがある。これで便をためることができる。このほか、健康な人の便から取った腸内細菌を患者に移植する「便移植」なども研究が進んでいる。

潰瘍性大腸炎を長く患っていると、大腸がんになることもある。発症後10年を過ぎるとリスクが徐々に上がるという。大腸の粘膜で炎症が続くため、がんができやすいと考えられる。

慶応大学病院に入る安倍首相(24日、東京都新宿区)

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