REITで「利回り狩り」が拡大 総合型が有望に?
アイビー総研代表・関大介

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2020/8/31 2:00
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国内の不動産投資信託(REIT)で、タイプ別に価格の二極化が進んでいる。倉庫などの物流施設やマンションといった住宅に投資しているREITの価格が上昇(分配金利回りは低下)。その一方で、オフィスやホテルなど、他の用途の不動産に投資するREITは、下落基調で推移している(分配金利回りは上昇)。

こうした状況において、前回に述べたように、私はオフィスに投資するREITに最も投資妙味があると考えている。ただし、短期的には空室率が上昇するなど、オフィスの賃貸需要の悪化を示す情報が多くなるため、オフィス型REITの価格が本格的に上昇するには時間がかかりそうだ。

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■同じ用途のREITでは利回りの差が縮小

では、短期的に投資妙味があるのは、どのようなREITか。有望なのは、異なる複数の用途の不動産に投資している総合型・複合型の銘柄だ。分配金の利回りが相対的に高く、短期に値上がりする余地もあるからだ。

特に総合型で、テナントや宿泊客の減少などで収益が悪化する可能性が高い商業施設やホテルの保有が少ない銘柄は、減配になるリスクが低い。様々な金融商品の利回りが低下している現状では、有望な投資対象だと言える。

価格の上昇余地も大きい。現在は資金が集中している物流施設型や住宅型のREITで盛んな「利回り狩り」が、総合型のREITにも広がる可能性があるからだ。

利回り狩りは、分配金利回りのより高い銘柄を買い求める投資家の姿勢を指す。これまでは同じ用途の不動産に投資している銘柄同士を比較して、利回りが高い方を買う動きが活発だった。その結果、同じ用途の銘柄間で分配金利回りの差が縮小し、利回り狩りをしにくくなっている。

下のグラフは、物流施設型REITの三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)とラサールロジポート投資法人(3466)の分配金利回りの推移を比較したもの。利回りの差が縮小している様子が見て取れるだろう。

■物流施設型や住宅型から資金がシフト

銘柄間の分配金利回りの差が縮小している物流施設型や住宅型のREITでは、利回り狩りを追求する投資家は投資先を見つけにくくなっている。その結果、彼らの資金が総合型や複合型のREITに向かう可能性が高まってきた。

既に兆しは表れている。総合型REITの産業ファンド投資法人(3249)は、今年3月19日に付けた年初来安値(9万4500円)の2.1倍に上昇し、7月28日に20万3400円の上場来高値を付けた。

このREITでは、投資先の半分を物流施設が占める。残りは工場や研究開発施設、インフラなどだ。物流施設の比率が高い点が着目されて、買いが集まったとみられる。

一般的に、分配金の利回りが2.5%まで低下すると、保有銘柄を売却し、利回りの高い別の銘柄にシフトする動きが出やすい。8月28日時点では物流施設型と住宅型のREITは全てで、分配金利回りは2.5%を上回っている。だが、今後は価格の上昇などに伴って、2.5%を切る銘柄も出てくるだろう。

そうした銘柄が相次ぎ、利回り狩りを追求する投資家の資金が他の用途のREITにシフトする動きが本格化すれば、商業施設やホテルへの投資が少なく、かつ分配金利回りの高い総合型・複合型のREITに資金が流入し、価格が上昇する可能性が高い。先回りして、資金の受け皿になりそうな銘柄を仕込んでおくのも、一考に値するだろう。

不動産投資信託(REIT)は、インカムゲイン狙いの投資家に人気のある投資商品。オフィスビルやマンションなどの不動産物件に投資し、賃料や不動産の売却益を得て、それらの収入から分配金を投資家に還元する。分配金を定期的に受け取るインカムゲインだけでなく、REIT自体の価格が上昇すれば、売却益によるキャピタルゲインを得ることもできる。この連載では最新動向をREITウオッチャーの関大介氏が解説する。

関大介(せき・だいすけ)
不動産証券化コンサルティング及び情報提供を行うアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2020年10月号の記事を再構成]

日経マネー 2020年10月号 アフターコロナの配当生活入門

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2020/8/21)
価格 : 750円(税込み)

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