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1945年の若者へ 高校生ら、戦争証言者に手紙

1945年に若者だった人たちに手紙を書きませんか。全国の戦争経験者を訪ね歩いて証言集をまとめた編集者らが、戦後75年の今を生きる10~20代に証言者への手紙を書いてもらう企画を始めた。「自分事として戦争や平和を考えるきっかけになれば」と願っている。

現代の若者から戦争体験者に宛てた手紙などで構成された「若者から若者への手紙 1945←2015」(13日、東京都新宿区)

東京純心女子高校(東京都八王子市)の2年生約70人は今春、新型コロナウイルスによる休校期間中に手紙を書く課題に取り組んだ。相手は戦争体験の証言者。メールのやりとりしか経験がなく、手紙を書くのはほぼ初めてという生徒も多かった。

「若者から若者への手紙 1945←2015」を出版した(左から)室田元美さん、北川直実さん、落合由利子さん(13日、東京都新宿区)

三井春花さん(17)が選んだのは沖縄戦で学徒看護隊にいた女性。亡くなった兵士の遺体を捨てる仕事をしたとの証言を読み、当初は「理解ができないのに手紙を書くのは失礼ではないか」とも考えた。悩み抜いた末「壮絶すぎて想像できない」と率直につづった。

石山涼奈さん(16)もパソコンで何度も書き直した。旧日本軍「731部隊」での加害経験を語った男性に向け、間違いを認めて罪を償おうとする姿勢を「強い」と表現した。学校教育の責任について考え「何かおかしいと思ったらすぐに声をあげていくべき」だと結んだ。

生徒たちが読んだのは、戦後70年の2015年に出版された証言集「若者から若者への手紙 1945←2015」。第2次世界大戦の終戦当時、9~25歳だった原爆の被害者や元少年兵ら15人の証言と、出版当時16~28歳の若者15人が書いた手紙を収録している。

戦後60年を過ぎたころ、フリー編集者の北川直実さん(60)と写真家の落合由利子さん(56)、ライターの室田元美さん(60)は戦争を直接知る世代が年々減少する危機感で一致した。「今のうちに話を聞いて記録を残すべきでは」。沖縄や広島など全国各地へ自費の取材旅行を重ねた。

アポなしで訪ねて話が聞けたこともあれば、何度も通って初めて重い口を開いてくれた人もいた。出版社「ころから」(東京)から書籍化することが決まり、証言者たちが戦争を経験したのと同じ年ごろの若者に関心を持ってもらおうと手紙を募り、取材開始から10年越しで本が完成した。

さらに5年が過ぎ、今では証言者15人のうち存命なのは80~90代の3人になった。今年は新型コロナの影響で戦争体験を聞く活動の中止や延期も各地で相次いだ。

「絞り出すように話してくださった証言は預かり物。一人でも多くの人に読んでもらうため本に光を当て続けたい」。北川さんらは1月、10~20代の若者に証言者への手紙を書くことを呼び掛けるプロジェクトを始めた。これまでに学校単位や個人の応募で220通が集まっており、12月末まで募集を続ける。

北川さんは「感想文とは違い、手紙は相手や自分自身と向き合って戦争を深く考える。人生を通して平和を考えるきっかけにしてほしい」と期待する。問い合わせや応募は北川さんのメールアドレス(officeyk@jcom.zaq.ne.jp)。

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