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シンガポール、外国人ビザ厳格化 日本企業にも影響

(更新)

【シンガポール=中野貴司】シンガポール政府は27日、外国人のビザ取得要件を厳格化すると発表した。専門職向けのビザ(EP)取得に必要な月給額を3900シンガポールドル(約30万円)以上から4500シンガポールドル以上とする。日本企業にとっても、日本人社員を派遣しにくくなるといった影響が出そうだ。

背景には1965年の独立以来、新型コロナウイルスの影響で最悪の経済状態に陥る中、シンガポール人の雇用に対する不安が高まっていることがある。7月の総選挙では雇用政策が主要な争点となり、外国人の受け入れ厳格化を主張した野党が得票率と議席を伸ばした。与党の人民行動党(PAP)政権はシンガポール人の雇用を一段と優先する方針を打ち出さざるをえなくなった。

人材開発省の27日の発表によると、9月1日から外国人がEPを取得するには4500シンガポールドル以上の月給を受け取っている必要がある。金融業向けには12月からさらに厳しい要件を課すことも決め、最低給与額を5千シンガポールドル以上に引き上げる。

Sパスと呼ばれる中技能の労働者向けビザについても、10月から最低給与額を2400シンガポールドルから2500シンガポールドルに引き上げる。Sパスの最低給与の引き上げは19年1月、20年1月にも実施しており、短期間での異例の再々引き上げとなる。

政府は同時に「採用の際にシンガポール人の応募者を外国人と比べて差別することは受け入れられない」と強調。差別的な採用をした企業へのビザ発行数を減らすなど厳しい措置を辞さない方針だ。

シンガポールがビザ取得の厳格化を打ち出したことで、日本企業は日本人社員を送りにくくなる見通しだ。40代の社員の必要給与額は若手の2倍程度としており、影響は給与水準の低い若手社員にとどまらない。大手銀行などは東南アジアの中核拠点のシンガポールに多くの日本人社員を派遣してきたが、人事戦略の見直しを迫られる可能性がある。

シンガポールにとっても、ビザ要件の引き上げによって外国人の高度人材が減れば、競争力の低下につながる恐れがある。少子高齢化が進む中で、本来は優秀な外国人確保の必要性は増しているはずだが、国民の不満を収めるために自国民優先の姿勢を強調せざるを得なくなっている。

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