米格差拡大、接戦州投票に影響 霍見NY市立大名誉教授

米大統領選
2020/8/28 0:55 (2020/8/28 1:35更新)
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ニューヨーク市立大名誉教授の霍見氏

ニューヨーク市立大名誉教授の霍見氏

米大統領選まで残り2カ月あまり。共和・民主両党の全国大会を経て、選挙戦は佳境に入る。米国民はトランプ大統領の4年間にどのような審判を下すのか。米在住の長いニューヨーク市立大名誉教授の霍見芳浩氏に聞いた。

――米政府のコロナ対策は。

「米国の死者は約18万人と世界最悪だ。ニューヨークなど州によっては感染防止のための対策をしっかりと実施したが、連邦政府は十分な対策をとらず、経済再開を優先した。トランプ大統領は『コロナ対策』と『経済』を分離しているようだが、コロナを抑え込まないと本格的な経済回復は進まない」

「米国には5つの複合ショックが起きている。1つがコロナ感染。2つめはコロナに関連した経済崩壊だ。失業者は3000万人以上となり、家族も含めれば米国民の3割程度が非常に厳しい状況にある。3つめがジョージ・フロイド氏の暴行死に端を発した差別抗議の高まり。4つめは世界的な異常気象。5つめが外交だ。米国はこれまで世界的な問題に対してリーダーシップをとってきたが、トランプ大統領は通商でも気候問題でもコロナ対策でも孤立している」

――大統領選の見通しは。

「2016年の前回選挙と同様、接戦州がカギを握る。前回は総得票数はヒラリー・クリントン氏の方が多かったが、ウィスコンシンやミシガン、ペンシルベニアといった接戦州をトランプ氏がとり、勝利につながった。トランプ氏は当時、白人労働者にも『変化』を訴え、支持を得た。だが、この4年間では約束したインフラ投資をほとんどやらず、企業や富裕層に有利な減税を進め、格差は拡大した。むしろ先ほど挙げた5つのショックで国民の不安を深めている。最近の世論調査ではバイデン氏が優勢な接戦州が多く、中道派が民主党に傾いている。民主党は下院だけでなく、上院でも議席過半数を得る可能性が高まっている」

――バイデン氏の政策をどう評価するか。

「バイデン氏は5つのショックからの回復を目指している。差別問題の解消や異常気象などすぐに解決する問題ではないが政策綱領でも対処していくことを明示した。トランプ減税の廃止や富裕層課税の導入など格差の縮小を訴え、中低所得者への配慮の姿勢を鮮明に出している。公立大学の無償化や失業手当の拡充も打ち出している」

――民主党の政策は財源の確保など実現可能性には疑問符もつく。

「トランプ政権下で財政が拡大したのは減税による面が大きい。トランプ減税を廃止するだけで税収は戻る。アップルやアマゾン・ドット・コムなど、巨額の利益を稼ぎ、株価も上がっているが、ほとんど税金を納めない企業が多くある。こうした企業からしっかり税金をとることによって歳出を増やすことができる」

▼略歴
つるみ・よしひろ 1935年生まれ。68年米ハーバード大経営学博士号(DBA)。ハーバード大などの教授を経て、2013年にニューヨーク市立大名誉教授

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