トヨタ、一律定昇見直し 成果主義を拡大
21年から導入へ

2020/8/27 19:00
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トヨタ自動車は定期昇給について、評価に基づいて従業員の間にもうける差を広げる方向で労働組合と最終調整に入った。一律的な昇給分をなくし、評価に基づく賃金項目に一本化する。労組は9月30日に予定する定期大会で会社側の提案を受け入れることを正式に決める。同意が得られれば2021年から導入する。

高い評価を得た「頑張っている社員に報いる」狙いが大きい。トヨタ社員の基本給は大きく分けて、職位に基づき一律の「職能基準給」と、個人の評価に基づく「職能個人給」で構成される。新賃金制度では、考課による反映額を拡大するために、2つを評価に基づく「職能給」に統合する。

人事評価は4~6段階とし、低い評価を受けると定期昇給がゼロになる可能性もある。トヨタは「実行力」や「人間力」といった独自の評価軸を重視しており、評価に応じて賃金の差が広がる。従来は年齢や勤続年数によって資格があがる傾向が強く、「一律」的な賃金が課題となっていた。

会社側は、新たな賃金制度の中身や水準などの詳細を検討するため、今年の春季労使交渉以降に労使専門委員会を複数回開いて労組側と議論してきた。労組も組合員に順次説明し、新制度に対し理解を得てきた。

新型コロナウイルスにより足元では業績悪化が懸念されているが、自動車産業は大変革期を迎えており根本的な競争力強化が課題になっている。トヨタは従業員の生産性を従来以上に引き上げる賃金制度に転換しようとしている。18年春交渉では会社側がベースアップ(ベア)の回答額を非開示にしたほか、20年春には「高い水準にある賃金を上げ続けることは、競争力を失うことになる」としてベアをゼロで回答した。

トヨタに代表される日本の製造業は、終身雇用や年齢や勤続年数に応じた昇給といった日本型雇用の象徴とされてきた。成果主義の流れは2000年代以降傾向が強まってきたとされるが、トヨタ関係者は「日本の大手製造業が定昇を完全に評価型にするのは珍しい」と話す。

デジタル化の浸透などにより硬直的な雇用慣行は、国際競争力を奪う要因になり始めている。NEC富士通は、定期昇給に個人の前年度の評価を反映させる仕組みをすでに採用している。

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