景気「持ち直しの動き」維持、8月月例報告
政府は27日にまとめた8月の月例経済報告で、国内景気について「持ち直しの動きがみられる」との総括判断を維持した。輸出と生産の個別判断を引き上げたが、自動車関連以外の戻りは鈍いことなどから、全体の判断は据え置いた。新型コロナウイルスの感染再拡大による自粛ムードが続けば、消費の回復に水を差す恐れもある。
政府は緊急事態宣言が出ていた5月を底に、6月、7月と景気判断を引き上げてきた。8月は輸出と生産に持ち直しの動きがみられるものの、強さや広がりに欠けるため、3カ月ぶりに判断を変更しなかった。
7月の貿易統計では、輸出金額は前年同月比19.2%減となり、6月の26.2%減から改善した。中国、米国、ドイツなどの主要国で日本車の販売台数が復調し、自動車関連材の輸出が増えた。輸出の持ち直しに伴い、生産も自動車関連がけん引する形で上向いた。31日発表の7月の鉱工業生産指数は2カ月連続で上昇する見込みだ。
ただ、化学や鉄鋼、紙・パルプなどは6月まで減産が続いていた。業種によって強弱が入り交じり、全体として楽観はできない状態だ。
個人消費の個別判断は「持ち直している」で据え置いた。天候不順や東京がGoToトラベルの対象から除外された影響で、8月前半に個人消費は低迷した。内閣府は「お盆に消費が伸び悩んだ分、家計には支出余力が残っている」と期待するが、自粛ムードが長引けば消費の回復は腰折れしかねない。