不連続の未来へ　「パクスなき世界」を考える

「Pax（パクス）」――。古代ローマの人々は平和と秩序の女神をこう呼びました。「パクス・ロマーナ（ローマによる平和）」から「パクス・アメリカーナ（米国による平和）」まで、繁栄の歴史を象徴する存在です。

そして2020年。新型コロナウイルスの危機が私たちに突きつけた現実は、パクスのいない世界でした。格差や対立、不信や矛盾があぶり出され、世界の変化が加速しています。

新連載「パクスなき世界」には、みなさんとともにあすの世界を考えていきたいという私たちのメッセージをこめました。あすはきのうの延長線にはありません。あなたはどんな未来をつくりたいですか――。

（1）成長の女神 どこへ　コロナで消えた「平和と秩序」

（2）経済覇権、150年ぶり交代　競うのは主義でなく賢さ

（3）自由を守るための不自由　再生迫られる民主主義

（4）その利益、社会に役立つか　ふるいにかけられる官民

（5）組織頼みから個の時代へ　自分の価値を自問する

（6）新たな「都市像」描けるか　人口集中から知の集積へ

《対論》危機の先、成長か分配か　新浪剛史氏vs柳川範之氏

■不確実な時代、革新なければ打破できない　小林喜光氏（三菱ケミカルHD会長）

■人類が初めて同時に共有、コロナという恐怖　オルハン・パムク氏（ノーベル賞作家）

■「遠隔移民」やAIで労働力代替加速　リチャード・ボールドウィン氏（ジュネーブ国際高等問題研究所教授）

■格差も加味、経済成長の物差し変えるべき　北尾早霧氏（東大教授）

■グローバル化、2つの欠点がコロナで増幅　ヘンリー・ファレル氏（米ジョンズ・ホプキンス大教授）

■中国を公正な競争・共通の価値観に引き込む　甘利明氏（自民党税制調査会長）

■対中国の問題、日本は譲れない線を明確に　渡辺博史氏（元財務官）

■経済安保、インテリジェンス甘い日本　国分俊史氏（多摩大大学院教授）

■ベトナム、コロナ対応に中国への危機感　梅田邦夫氏（前ベトナム大使）

■民主主義や自由への攻撃、構造的な問題　ダロン・アセモグル氏（米マサチューセッツ工科大教授）

■データ社会 人類の未熟、教育で克服を　ダグラス・ラシュコフ氏（米ニューヨーク市立大教授）

■コロナが問う 社会のために協力する義務　児玉聡氏（京大准教授）

■短期志向の株主資本主義から脱却を　スコット・マザー氏（PIMCO米国コア戦略担当CIO）

■コロナ、市場メカニズムや資本主義変える　島本幸治氏（ソシエテ・ジェネラル証券社長）

■負担と受益を分かち合う社会に　井手英策氏（慶応大教授）

■コロナで見えた 国家と超富裕層の力　成田悠輔氏（米エール大助教授）

■リモートで提供できない価値 問い直す　玄田有史氏（東大教授）

■想定外を想像できるマインドが重要に　石倉洋子氏（一橋大名誉教授）

■ジョブ型雇用や働き方改革もコロナで加速　村上臣氏（リンクトイン日本代表）

■在宅勤務の成功とオフィスづくりの失敗　坂口英治氏（CBRE社長）

■都市化の代償、人類に感染症リスク　長谷川真理子氏（総合研究大学院大学長）

■コロナが自覚させた 時代遅れの都市モデル　隈研吾氏（建築家、東大特別教授）

■ドイツに学ぶ「多極集中」の都市づくり　広井良典氏（京大教授）

■自由のパラドックス　「パクスなき世界」を考える

■大断層の先に目を凝らす　「パクスなき世界」を考える

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