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日本代表の参謀役 女子バスケ指導者・恩塚亨(下)

2017年からバスケットボール女子日本代表のアシスタントコーチを兼任する恩塚亨(41)と代表の接点は06年まで遡る。「自腹で構わない」と自らを日本協会に売り込み、ビデオコーディネーターとして年代別の国際大会に同行したことがきっかけだった。

的確な分析力で女子日本代表に欠かせない存在となり、現在はアシスタントコーチを務める(2019年9月、日本バスケットボール協会提供)

「ビデオ好きのオタク」と、当初は無名の若手の仕事ぶりを笑う選手もいたが、信頼を得るのに時間はかからなかった。関わりを続けるうち、その緻密な分析力はチームに不可欠なものになっていく。

16年リオデジャネイロ五輪の1次リーグ、オーストラリア戦。日本は残り8分、16点リードから大逆転負けを喫した。体格で上回る相手に速さとシュート力で対抗したが、終盤はリバウンドの際に全員がボールウオッチャーになっていたことが要因。ビデオコーディネーターとして参加していた恩塚の指摘で浮かんだ弱点だった。

これ以降、シュートを打たれたら全員が相手に体をぶつけて簡単に跳ばせない「ヒット、ファースト」が約束事になった。これにより相手の2次攻撃は減り、豪州も参加した昨年のアジアカップでは4連覇を達成。来夏に延期となった東京五輪では史上初のメダルを目指すまでにチームは成長した。

日本代表と東京医療保健大。立場は違えど、恩塚は一貫した向上心と行動力で成果を上げてきた。「あらゆる手を使って成長の手段を考えることが大切」と考えているから、コロナ禍で今季の代表活動が白紙になり、大学では例年と異なるシーズンを強いられても立ち止まることはなかった。

春の大学新チーム始動に合わせたオリエンテーションビデオの作成に20時間をかけ、全体練習ができない中でも自分が目指すバスケットのイメージ定着を図った。毎晩のように、オンライン勉強会も開催。まずは新型コロナウイルスの基礎知識を共有し、対人関係が苦手な選手にはコミュニケーションに関するプレゼンテーションを促した。

取り組み全てが競技力に直結すると考えていたわけではない。それでも6月、ようやく体育館に集まることができた約30人の部員全員の顔つきは明るく、システムへの理解度も例年を上回っていたという。「この数カ月、彼女たちは怖さに向き合って解決し、主体的に取り組んできた」。あとはその能力をコートで最大限発揮させるだけだ。

待ち望んだ今季初の公式戦は9月19日に始まる予定。インカレ3連覇中の女王への包囲網は厳しいに違いないが、「去年より良いバスケットができる手応えはある」。選手と共に短くも濃いシーズンを駆け抜けるつもりだ。=敬称略

(鱸正人)

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