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子どもとお金の話をしよう 家族マネー会議のススメ

NIKKEI STYLE

「ためられる家計」を作るには、家族や生計を共にする人たち全員が家計の情報を共有し、「家計に参画するんだ」という意識を持つことが大切。この家計の情報を共有するために「家族マネー会議」を行うことをオススメしています。家計の流れを知り、使い方の話し合いができるほか、子どもの金銭教育、金銭感覚を育てることにも役立ちます。

子どもは生活にいくらかかっているのか、自分の学校にいくら支払っているのか、塾や習い事にいくらかかっているのかなど、ほとんどわかっていません。必要だと言えば親に与えられる、それで当たり前と思っている子もいます。ですがそれではいつまでたっても「お金の価値」がわかりません。

自分の身の回りに当たり前にあるものに、どのくらいの支出がされているのか「知る」ことは、学校や塾などへの向き合い方、文具や玩具などの使い方などを考えるきっかけとなります。何か欲しいものがあっても、買ってほしいといえる状況ではないと判断したら、自分でこづかいをためて買おうとするような変化がみられるかもしれません。

影響が出るのは子どもだけではありません。家庭の金銭面を共有することで、今やるべき節約、大切に維持したい支出などを、家族の全員が理解できます。お金についての方針や価値観などが共有されるので、節約もみんなで協力して取り組め、努力が確実に実るようになるのです。節約や支出の削減策の効果が効率よく出せるようになるのです。

ただ、家族マネー会議をするとよさそうだなと思うけれど、どういうきっかけで始めたらよいのかということを、多くの方は疑問に思うようです。どう切り出すとよいでしょう。

失敗しました、とおっしゃる方の話を聞くと、急に「お金の話をしよう!」と暗いトーンで家族を集めて始めるのは当然によろしくない典型例です。子どもが外食でいつものように食べなくなったなど、家のお金がピンチだと思わせてしまうのです。かしこまるよりは、学校行事や家庭内の行事でお金がかかることがあるときに、その費用の相談をする流れで、自然に家計の話に巻き込んでいくような形が理想的です。

家族マネー会議の始め方

実際の家族マネー会議の進め方も、そう難しいものではありません。

月に一度、家族全員参加で行うことが原則です。はじめのうちは日程を事前に決めるのは難しいかもしれません。慣れてきてからでも十分です。決められる場合は、給料日後に設定する方がよいでしょう。また、家計から買ってほしいものはその理由をプレゼンする、決まったことに対し、会議の「後に」文句を言わない、というルールもあります。

では、会議の具体的内容は、というと……。

(1)今月の収入(共働きの場合は夫婦それぞれの収入)を発表

(2)収入から差し引かれる必要経費(いわゆる支出。住居費や食費など)を発表

ここで、支出を「消費・浪費・投資」の視点で確認し、無駄な支出はなかったかなどを話し合います。支出の「消費・浪費・投資」については、また別の回でお伝えします。

(3)今月の貯蓄額の発表

その後、家計から買ってほしいものがある場合は「なぜ欲しいのか、どのように必要なのか」ということをプレゼンします。購入できるかどうかは、それを聞いた家族全員で判断します。このような流れです。難しいことはありませんよね。

ただ、ご家庭によっては「収入まで子どもに伝えるのは抵抗がある」という方もいます。外で他の人に話してしまわないだろうかということが、一番の理由のようです。どうしても抵抗があるという場合は無理しなくてもよいと思いますが、家族の一員として知っておくべきことであると子どもが自覚できれば、簡単に人には話さないものです。

マネー会議で変わること

我が家では今では社会人となった長女が小学3年生ごろから、子どもを含めて家計の話をしています。収入から必要な支出を払ったらいくら残るのかを子どもが把握すると、むやみにあれこれ欲しがらず、本当に欲しいと思っているものについて購入の交渉をしてくるようになりますし、こづかいを全部使わずにある程度残して、欲しいものができたときに使おうとするなど、行動の変化がありました。

子どもが複数いると、自分にかけられるお金が他の兄弟と公平かどうかも、家族マネー会議で気にするようにもなります。自分は何も習いに行っていないのに、塾に行っているあの子が習い事を増やすのは不公平など、結構厳しくみています。そして、自分が何か習い事をしたいと思ったときには、毎月の余剰金のでかたなどから、親と一緒に家計に無理のない範囲を考えてくれるようにもなるかもしれません。

お金の話をしていても、子どもはお金の失敗をします。ですが、話をしているとその失敗も、なぜ失敗してしまったのか、どこが間違いだったのかなどを、より理解することができるでしょう。

また、家族マネー会議にはお金の話を通して子どもとコミュニケーションを取ることができるメリットもあります。アイドルの話、学校の話、困っていることや楽しんでいることの話、将来のことなど、色々なことを話せる機会です。互いに話をする環境をつくると、子どもはささいなことも話してくれるようになります。次第に家族の価値観や考え方も共有されていき、家族全体の団結力が高まる効果もあります。

この家族マネー会議、家計面でも、子どもの金銭教育としても有効だと考えています。もし、興味を持たれましたら、ぜひお試しください。

横山光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、これまでの相談件数は2万3000件を突破。著書に『はじめての人のための3000円投資生活』『年収200万円からの貯金生活宣言』など。オンラインサロン「横山光昭のFPコンサル研究所」を主宰。

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