米運用大手バンガード、香港・日本撤退 中国本土に注力

金融最前線
2020/8/27 2:22
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バンガードはアジア事業の見直しを進めていた=AP

バンガードはアジア事業の見直しを進めていた=AP

【ニューヨーク=宮本岳則】米資産運用大手バンガード・グループは26日、中国・香港と日本市場向け投資商品の販売事業から撤退することを明らかにした。成長の見込める中国本土市場に経営資源を振り向ける。米ブラックロックなど外資大手も本土での事業拡大を狙っており、競争が激しくなりそうだ。

バンガードは米ブラックロックに次ぐ世界2位の資産運用会社で、運用総額は6兆1千億ドル(約640兆円)に達する。世界で初めて指数連動型の「インデックスファンド」を個人向けに販売したことでも知られており、低コストを武器に資産残高を伸ばしてきた。近年はアジア事業の見直しを進めており、2018年にはシンガポール市場から撤退した。

バンガードは香港市場からの撤退について、低コストの投資信託を提供するのに十分な事業規模を得られなかった、と説明する。香港市場に上場する上場投資信託(ETF)や、退職積立金向け商品の取り扱いも段階的に中止する。日本ではマネックスグループと組み、個人への浸透を図っていたが、今後は積極的な販促や新商品の投入をしないという。

バンガードは中国本土市場に経営資源を振り向ける。19年にアリババ集団傘下の金融会社アント・グループと合弁企業を設立し、個人向けの投資顧問サービスを始めた。アントはスマートフォン決済「支付宝(アリペイ)」や運用商品「余額宝」などを手掛け、強固な顧客基盤を持つ。バンガードが得意とする低コスト運用商品を提供することで、一気にシェア拡大を狙う戦略だ。

欧米の運用会社は先進国で手数料引き下げ競争に直面し、成長機会を中国を含む新興国に求めている。米ボストン・コンサルティング・グループの予測によると、中国本土の資産運用市場は25年までに米国に次ぐ世界2位の大きさになる。中国政府は外資開放の一環で4月以降、個人向け投信販売でも外資による100%子会社の設立を認めるようになり、欧米勢の「中国シフト」を後押ししている。

米金融大手JPモルガン・チェースは4月、中国で公募投資信託を販売する合弁会社を完全子会社にする方針を発表した。合弁相手からの株式買い取りに10億ドルを投じる見通しだ。ブラックロックも個人向けに投信を販売する100%子会社の設立に動いており、中国当局への申請を済ませている。中国現地の金融グループも運用事業に力を入れており、顧客獲得競争は激しい。

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