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養育費「逃げ得」防げ 国・自治体の動き本格化

離婚後の養育費不払い問題の解消に向けた動きが本格化している。国は立て替え払いや強制徴収など新制度導入の是非を議論。独自の支援策を打ち出す自治体も相次ぐ。

離婚相手から養育費を支払われなかった経験を語る女性会社員(東京都内)=共同

新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化でひとり親世帯の困窮に拍車が掛かる中、当事者らが「『逃げ得』を防ぐ仕組みづくりは急務だ」と訴えている。

「あの時、養育費の大切さをもっと知っていたら」。離婚を2度経験した東京都の女性会社員(44)は悔やむ。最初の結婚は元夫の精神的暴力に耐えきれず、離婚を切り出した。元夫は「子どもと会えないなら払わない」と養育費の支払いを拒否。何とか口約束は交わしたが滞ることも。出版社の正社員になっても生活に余裕はなかった。

2年後に再婚した。相手は元夫との接触を嫌い、養育費の受け取りをやめるよう求めた。女性も「再婚したらもらえない」と思い込み、元夫に養育費の打ち切りを伝えたが、今度は再婚相手による長男への暴力が原因で別れた。

その頃、再婚しても養育費の権利があることを知った。大学進学を望む長男のために養育費を取り戻そうと、最初の夫に連絡したが反応は鈍かった。「養育費がないことで子どもの可能性を諦めざるを得ない親はたくさんいる。国が明確な方針を打ち出せば養育費の大切さが周知され、救われる人がいるはずです」

厚生労働省の2016年度調査によると、母子世帯は約123万世帯、父子世帯は約19万世帯ある。派遣やパートなど非正規雇用の割合は母親が圧倒的に高く、母子世帯の平均年収は243万円。父子世帯(420万円)の6割に満たない。

民法は離婚時に養育費について協議すると明記。だが「相手と関わりたくない」「支払い能力がない」などの理由で、養育費の取り決めをしないケースは多い。厚労省の調査で「父親から受け取っている」と答えた母子世帯は24.3%にとどまり、貧困を招く一因となっている。

政府は7月、女性活躍に関する「重点方針2020」を決定し、養育費確保に向けた法改正の検討を明記した。法務省と厚労省は6月から定期的に支援策を議論。国による養育費立て替え払いや強制徴収の制度化などについて、年内をめどに取りまとめる方針だ。

国に先駆けて、兵庫県明石市では上限5万円で養育費を立て替え払いする制度を7~8月に試験導入。仙台市や福岡市なども、保証会社に督促や回収を代行してもらう際の保証料を補助する。

一般社団法人「ひとり親支援協会」(大阪市)には、コロナ禍で離婚相手が職を失い、養育費の支払いが止まったといった相談が相次ぐ。今井智洋代表理事(33)は「ひとり親世帯の生活は厳しさを増している。背景に暴力がある場合など、養育費の取り決め自体が困難な人たちを念頭に置いて、『支払い逃れ』を許さない仕組みを早急につくるべきだ」と話した。

〔共同〕

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