感染ピークは7月末 新型コロナ、重症者増なお警戒

新型コロナウイルスの新規感染者が減少傾向にある。政府の分科会は「7月末をピークに緩やかに減っている」と分析した。ただ、中高年層への感染拡大で重症者数は増加が続き、なお警戒は必要だ。お盆期間中の人の移動の影響もまだ見通せず、収束に向かうのかは予断を許さない。
全国で報告された新規感染者数は、傾向が見やすい1週間の移動平均でみると8月9日の1369.3人がピークだった。その後は減少傾向で、24日は913人と7割弱の水準になった。累計感染者から回復した人などを除いた現在感染している人も減りつつある。
24日の政府の分科会では感染者の推移を発症日別でみて「7月27~29日以降、緩やかな下降がみられる」と評価した。要因として、接客を伴う飲食店などで自治体が積極的に検査したことに加え、時短営業の要請や市民の行動変容を挙げた。

感染者1人が何人にうつしたかを示す実効再生産数も東京、大阪、愛知、沖縄といった感染拡大が顕著だった地域で1を下回り、分科会は低下傾向がみられると分析。数値は1を下回ると収束していく目安となる。
ではこのまま収まるのか。分科会メンバーの脇田隆字・国立感染症研究所長は「(収束局面の)ピークアウトという見解ではない」と指摘する。
8月に入り感染者に占める中高年層の割合は上昇している。19日までの1週間は60歳以上の割合は22.3%と、前々週の12.2%からほぼ倍増した。重症化リスクが高いとされる高齢者に感染が広がり、重症者の増加が続く。8月23日は259人と「第1波」のピークには及ばないものの、8月初めの3倍の水準だ。
全国での病床使用率は19日時点で26.2%にとどまるが、8割を超す沖縄など一部地域では逼迫度が高まっている。重症者向け病床の使用率は全国で9.0%と、ここ2週間で倍増した。

新規感染者は減ったとはいえ、4月の第1波のピーク時となお同水準にある。感染経路が不明な人の割合も14日までの1週間で5割超と、高水準のままだ。お盆期間中の人の移動の影響が明確に見えてくるのはこれからで、大規模クラスター(感染者集団)などが発生すれば再び感染拡大に向かう可能性もある。
東京医科大学の浜田篤郎教授は「感染者の伸びが収まったのは、多くの人がマスク着用や3密回避などを進めたのが一因ではないか」と話す。一方で今回は第1波よりピークが高いとし、「ピーク以降の減り方は4月ほど急ではなく、感染者が一定数で推移する可能性もある。予断を許さない状況だ」と指摘する。

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