「トランプ党」に変質 米共和党、くすぶる不満

米大統領選
2020/8/25 20:30
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米共和党はトランプ米大統領の影響力が強まる=ロイター

米共和党はトランプ米大統領の影響力が強まる=ロイター

【ワシントン=永沢毅】24日から始まった米共和党の全国大会はトランプ大統領が初日から演説するなど、異例の展開となった。党支持者からの高い支持率を背景に異論は封じ込められ、政策面でもトランプ流の強硬な「米国第一」に染まりつつある。「トランプ党」への変質に党内では不満もくすぶる。

4年に1度の共和党大会では、大統領候補が最終日に指名を受けた正式な「受諾演説」をするのが慣例だが、トランプ氏は予告なしで初日から登場。民主党批判や中国批判を繰り広げ、会場を「トランプ色」で染めた。

共和党は今回の党大会で大統領選の公約となる政策綱領の公表を見送った。いつもは党大会にあわせて公表しており、更新しないのは異例だ。「大統領の米国第一の政策を熱狂的に支持し続ける」。共和党は声明で、トランプ氏の政策を推進する方針を強調した。

16年大統領選はトランプ氏が環太平洋経済連携協定(TPP)離脱や排外的な移民政策を公約に掲げたが、踏み込んだ記載をしなかった党の政策綱領との食い違いが目立った。今回はそうした事態を避ける狙いもある。

米ギャラップの調査によると、共和党支持者のトランプ氏支持率はなお90%(8月中旬)を保つ。高い支持率を前に、16年大統領選で党の候補を争ったテッド・クルーズ上院議員らかつての政敵もこぞって支持に回る。

政治アナリストのデイブ・ワッサーマン氏によると、トランプ氏が勝利した16年に当選した共和の下院議員241人のうち、半数近い48%が21年1月までに入れ替わる。候補を絞り込む予備選で、トランプ氏の「米国第一」を熱烈に支持する候補が穏健派の現職を下すケースも目立つ。

トランプ氏が自らに刃向かう人物をツイッターで徹底的にくさし、異論を封じることもしばしばだ。トランプ氏の攻撃的な言動を苦々しく思う議員は少なくないが、表だって批判する議員はほとんどいない。選挙でトランプ氏支持者の票を失いかねないためだ。

代わってトランプ氏批判の前線に立つのは元政府高官や元職だ。「(民主党の)バイデン前副大統領の当選が米国の国益に最も合致する」。歴代の共和党政権で外交・安全保障政策を担ったアーミテージ元国務副長官ら元高官約70人は20日、トランプ氏の再選に反対する声明を出した。

24日にはフレーク元共和党上院議員ら27人の元職がバイデン氏の支持を表明した。党大会には16年に続いてブッシュ(子)元大統領、12年の党大統領候補のロムニー上院議員が出席を見送った。両氏はトランプ氏と折り合いが悪い。対照的に民主党大会にはオバマ、クリントン、カーターの元大統領が出演した。

トランプ氏の再選の可否にかかわらず、共和党の変質は一過性に終わらない可能性がある。「もはや共和党ではない。トランプ教団だ」。ブッシュ(父)政権でクエール副大統領の首席補佐官だった共和党のビル・クリストル氏は23日、ツイッターでこう嘆いた。

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