ロシア、反体制派への襲撃相次ぐ 過去に毒物使用も

2020/8/25 18:27 (2020/8/25 22:00更新)
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ナワリヌイ氏は旅客機内で体調不良を訴え、緊急搬送された(2月、モスクワで集会に参加する同氏)=ロイター

ナワリヌイ氏は旅客機内で体調不良を訴え、緊急搬送された(2月、モスクワで集会に参加する同氏)=ロイター

【モスクワ=小川知世】ロシアでプーチン政権と対立する人物への襲撃疑惑が再び浮上した。重体となった反体制派指導者のナワリヌイ氏を巡り、入院先のドイツの病院は24日、毒物の痕跡があるとの所見を示した。ロシアでは反体制派などが中毒症状を訴える事例が相次いでいるが、真相究明は進んでいない。

インタファクス通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は25日、「ドイツが『毒』という言葉を使って(結論を)急ぐ根拠が分からない」と述べ、診断結果に懐疑的な見方を示した。毒物が検出されない限り、捜査を始める理由はないとの考えも示唆した。

ナワリヌイ氏は20日、西シベリアからモスクワに向かう旅客機内で体調が急変した。22日に西シベリアの病院からドイツに移送されて治療を受けている。病院によると、体内の酵素の働きを抑制する物質による中毒症状を示しているという。

プーチン体制下では過去にも政権に批判的な人物らが襲撃される事件が繰り返され、ナワリヌイ氏も標的となってきた。政権は関与を否定し、事件の背景に強権的な政権の意向が働いたとの疑惑はくすぶったままだ。

2018年には英国で元情報機関員が神経剤ノビチョクで襲われて重体となった。英国はロシア軍の情報機関の関与を指摘して制裁に踏み切ったが、反発したロシアとの応酬が続いた。今回のナワリヌイ氏の事件はロシアで起きており、真相究明はさらに難しい。

15年には「反プーチン運動」を主導したネムツォフ元第1副首相がモスクワで射殺された。国内で影響力の大きな反体制派指導者はナワリヌイ氏だけとなっていた。ドイツの病院は命の危険はないが、容体は深刻としている。同氏の反体制派運動への復帰には時間がかかるとの見方は多い。

ナワリヌイ氏は9月の地方選に向けて、与党の候補者の当選を阻むため、対立候補への投票を呼びかける運動を展開している。体調が急変した西シベリアにもこの一環で訪れた。政権は21年に予定する下院選を前に、同氏を中心に反政権運動が盛り上がるのを警戒していたとみられる。

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