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ベトナム高級ホテル、非感染入国者の隔離専用に転換

一部の部屋が隔離専用になった高級ホテル「ソフィテル・レジェンド・メトロポール・ハノイ」(ハノイ市)

【ハノイ=大西智也】ベトナムの高級ホテルが新型コロナウイルスの影響で激減した利用者の穴を埋めるため、非感染入国者の隔離専用ホテルに切り替えている。首都のハノイや商業都市のホーチミン市のホテルは開店休業状態が続き、損益分岐点を大きく下回る。コロナの収束が見通せない中、すでに200以上のホテルが隔離向け施設となった。

ベトナムでは海外からの入国者に14日間の施設隔離を義務付けている。自宅での自主隔離は許されておらず、ベトナム人の場合は自治体などの専用施設、外国人はホテルを利用するケースが多い。厳格に運用されているため、短期出張や観光での入国が事実上できない状況が続いている。

ベトナム統計総局(GSO)によると、7月に同国を訪れた外国人旅行者は前年同月比98.9%減の約1万4千人だった。大都市圏の外資系5つ星ホテルの稼働率は5~10%程度まで落ち込んでいるという。それでもホテルが営業を続けるのは一旦閉鎖すると再開時に顧客を確保しづらくなるためだ。高級ホテルほど維持費用が大きく、簡単に一時閉鎖できない事情もある。

観光地として有名なハロン湾を抱えるベトナム北部のクアンニン省。不動産大手FLCが運営しているFLCグランドホテル・ハロン(5つ星)では、5月と6月に合計約500人の日本人を受け入れた。隔離された日本人によると、14泊分の料金は合計で約20万円だった。3回の食事を含めて、通常時より少し高い価格を設定するのが一般的という。

サービスは通常とあまり変わらない。2日おきに下着など毎回合計で12点分の洗濯物を受け付けてくれる。防護服を着たホテルのスタッフによる掃除やミネラルウオーターの配布も2日おき。隔離中は部屋を出ることを禁じられているが「思ったよりもストレスを感じず、仕事がはかどった」との声が多い。

ハノイ市中心部にある老舗最高級ホテル「ソフィテル・レジェンド・メトロポール・ハノイ」は100年以上の歴史があり、19年にトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が会談した場所としても知られる。通常では1泊の料金は1室3万円台から。このホテルも6月から約90室を隔離対象者向けに振り向けている。

ホテルにとってみれば、14日~15日間、通常価格を上回る料金で確実に予約が埋められるのが魅力だ。隔離専用ホテルを運営する担当者は「現状ではターゲットである外国人の顧客確保は至難の業。利益率も高く隔離用のホテルに転換するのが最も合理的」と打ち明ける。

ベトナムメディアによると大都市圏を中心に既に全土で1万8千室(200軒強)が隔離用のホテルになっている。日本や韓国など海外からのビジネスマンの入国が再開しているが、今後は帯同家族の入国も増えるもよう。積極的に隔離用途に切り替えるホテルが増えてくるとみられている。

ベトナムでは不要不急の外出禁止措置を4月下旬に解除した。厳格な防疫が奏功していたが、7月下旬に100日ぶりに中部の観光都市ダナンで感染者がみつかり、その後全土に広がっている。国内の飛行機の利用者が再び急減し、多くの企業で長距離移動を自粛している。特に外国人の出張需要の確保が難しくなっており、ホテル業界は手探りの経営が続いている。

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