リリー・フランキー、ラジオ番組で「スナック」開店

文化往来
2020/8/29 2:00
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スタジオでゲストとおしゃべりに花を咲かせる

スタジオでゲストとおしゃべりに花を咲かせる

俳優としても脂が乗っているマルチタレントのリリー・フランキーは、酒と会話を気さくに楽しめるスナックと縁が深い。かつて「スナック・リリー」と題したトークイベントをライブハウスで催し、つい最近もスナック経営の父親役でテレビドラマに出演した。

4月から始めた14年ぶりのラジオ番組は「リリー・フランキー『スナック・ラジオ』」(毎週土曜16時、TOKYO FMほか全国ネット)だ。アルコールこそないが、スタジオでゲストらとおしゃべりに花を咲かせ、リスナーのメールや音楽を自由な雰囲気で楽しむ。

「スナックは近所の人がふらりと来て話したり歌ったりして帰る。形式ばらないのがいい。この番組も内容を決めず、流す音楽も思いついたまま。全部行き当たりばったりなんです」と打ち明ける。「番組のパーソナリティーという感覚はなく、店主です」と言い、アルバイトという設定の女性たちの出演シフトも自ら組んでいるという。

プライベートでも「知らない街に行くと、スナックを訪れる」というほど思い入れがある。「コンビニがない街にもスナックはある。それはスナックがあることで生き永らえている人たちが世の中にいる、ということですよね。このコミュニケーションの場がなければ、誰とも話さず、会わずという人がいる。そういう意味でスナックは街のほっとする場でもあると思うんです」。

ラジオ版スナックともいえる番組を始めて「お酒を飲めない高校生やお年寄りからもメールが届き、その意を強くした」という。番組ではロマンチックな恋愛話や下ネタも飛び出す。「こういう話は誰も傷つかなくていい。スナックに夢を語る人はいらないんです。夢をかなえた人はクラブに行くんじゃないかな」。「コロナ禍で飲み屋に行くのも気兼ねする大変な時代。リモート飲み会のようにラジオを楽しんでもらえれば」と願う。

「おでんくん」を生んだ絵本作家であり、ベストセラー「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~」の小説家、映画「万引き家族」などで知られる売れっ子俳優でもある。イラストレーター、放送作家、エッセイストの顔も持つ。「仕事はどれも好きじゃないんですけど」と苦笑しながら、「一番苦手なのは(リリー・フランキーという)自分の名前のまま出ること」という。「役名でお芝居するのは恥ずかしくないし、抵抗もない。僕自身のことじゃないから。でも例えば自分の言葉で出演映画を語るのは照れがある」

だが、ラジオにはそんな照れがない。「ラジオは一対一で話すようなリスナーとの強い関係があるし、放送作家という元裏方だったこともある。今回のラジオも半分は作家という感覚」という。だから気ままに話しているようでいて自ら恥をさらし、リスナーの番組あてメールにも本音を期待する。

「嘘は見透かされるが、真実は見透かされようがない。だから自分が尻の穴を見せるぐらいに本気にならないと、リスナーも本気になってメールを送ってこないし、彼らのメールの力量も育たない。作り話のようなメールは(番組で取り上げないように)はじく」。かつての放送作家としての顔をのぞかせた。

(関原のり子)

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