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コロナ下の住民投票巡り応酬 都構想、議会で代表質疑

大阪市議会の本会議場で議論する松井市長(左)と自民党の北野議員(手前右)(21日、大阪市役所)

大阪市を廃止し特別区を設置する「大阪都構想」を巡り、大阪府・市の臨時議会で21日、各会派による代表質疑が始まった。新型コロナウイルスの感染が拡大するなかでの住民投票実施の是非を巡り、応酬が繰り広げられた。特別区の財政見通しや、制度移行による経済効果などを巡っても論戦が本格化した。

「お金や職員のエネルギーを感染症対策に注ぐべきだ」

21日午後の市議会本会議。反対派の自民党の北野妙子市議が、松井一郎市長に強く迫った。

府内では7月以降、新型コロナの感染拡大が続く。松井氏は「コロナ対策では知事・市長の方針を一本化して、住民の命を守ることを最優先にした。こうした取り組みが都構想でより強化される」と応戦した。

北野市議は「今の感染状況が続くなら、(都構想について)地域に十分説明できない。何が何でも住民投票を実施するのは許されない」と批判。松井氏はインターネットを活用して市民に説明するとし、「現時点では11月1日に住民投票を行いたい」と強調した。

松井氏らはこれまで府内の感染状況を判断する独自基準「大阪モデル」で、非常事態を意味する「赤信号」が点灯した場合、予定通りの住民投票は難しいとの考えを示してきた。

大都市地域特別区設置法は、両議会で都構想の制度案が可決された場合、法定協議会への通知後60日以内に住民投票を実施するとしている。このため松井氏らは市議会の議決日である9月3日までに、実施の可否を最終判断するとしてきた。

「住民投票を延期する場合の客観的な基準を示してほしい」。府議会では自民の原田亮府議が吉村洋文知事に質問を重ねた。

吉村氏は「社会経済活動の全体を止めなければならないときは、延期も考えないといけない」と説明。「赤信号は重要な基準だが、点灯したから必ず延期というものでもない」と曖昧な答弁に終始した。

吉村氏は議決後でも住民投票を延期できるように、国に要請する考えも説明。議会終了後、記者団の取材に、天災などで投票に支障が出た場合に延期できる公職選挙法の「繰り延べ投票」を適用できるか、国と協議すると説明した。法改正による対応も国に求めるとした。

一方、松井氏もこの日、市議会終了後、記者団の取材に「(議決後に)医療崩壊が見える状況なら、柔軟に対応する。何らかの手段で延期することはあり得る」と説明した。

市議会は24日にも本会議で代表質疑を行う。両議会は委員会での審議を経て、府議会は28日、市議会は9月3日に制度案を採決する予定だ。

両議会は賛成派が過半数で、可決は確実な情勢だ。住民投票が実現すれば、僅差で否決された2015年以来、2度目の実施となる。

財政、経済効果でも対立

「大阪都構想」を巡る大阪府・市の臨時議会では、府・市が11日に発表した特別区設置後の新たな財政シミュレーションも論点になった。都構想反対派の自民党の北野妙子市議は「新型コロナによる影響を全く織り込んでいない」と批判した。

シミュレーションでは、府・市は4特別区の2025~39年度の財政収支は黒字を維持できるとしている。ただコロナ禍による税収減などは「現時点での予測は困難」として反映せず、減収分は国が補てんするとの見通しを示した。

北野氏は「国から100%補てんされる保証はない。数年後の特別区の姿の根拠とするなら、厳しいシミュレーションも示すのが市民への最低限の説明責任ではないか」と追及した。

松井一郎市長は小中学校の給食費無償化の費用を盛り込んだことを説明し、「新型コロナによる影響は全国共通の課題だ。国にも地方交付税などの財源措置を強く求めていく」と話した。

府議会でも賛成派の公明の肥後洋一朗府議が「安定的な財政運営が可能だと改めて検証された」と述べた。

都構想の経済効果でも対立した。府・市が委託した学校法人嘉悦学園は、特別区設置から10年間で最大1兆円強の歳出削減が可能と試算。松井氏は「報告書が示している経済効果に加え、都構想が制度的に実現した場合は、さらに民間投資を呼び込んでいく力が働くと期待している」と前を向いた。

賛成派の大阪維新の会の藤田あきら市議も「学術的な見解として経済効果が確認された」と強調。一方、北野氏は「そもそも大都市制度と経済成長の因果関係はない」と言い切った。

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