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7月の国内粗鋼生産、前年比27%減 コロナの影響続く

日本鉄鋼連盟(鉄連)は21日、7月の国内粗鋼生産量が前年同月比27.9%減の604万9千トンだったと発表した。5カ月連続の前年割れだ。前月比では4カ月ぶりに増加へ転じたが、新型コロナウイルスの影響は依然として大きい。高炉の再稼働が視野に入るなど明るい材料も出てきた一方で、中国企業の存在感は高まり、将来を見通しにくい状況が続いている。

10月以降は生産が回復に向かう見通し(JFEの西日本製鉄所福山地区)

生産量を前月と比べると7.7%増え、3カ月ぶりに600万トン台に回復した。ただし770万トンを下回ることがなかった19年に比べれば依然として少なく、リーマン・ショックの影響を受けた2009年前半並みの低水準が続いている。

鉄連も「減少幅は縮小したが、前年同月比で約3割減と厳しい状況だ」とみる。実際に鉄鋼各社は新型コロナの感染拡大を受け、減産体制に入っている。日本製鉄は4月に東日本製鉄所鹿島地区(茨城県鹿嶋市)と関西製鉄所和歌山地区(和歌山市)、さらに5月に東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)で高炉を1基ずつ一時休止した。

JFEスチールは西日本製鉄所の倉敷地区(岡山県倉敷市)で改修工事の前倒しにより、高炉1基の稼働を止めた。6月末までに福山地区(広島県福山市)の高炉1基も一時休止している。

自動車や電機などのメーカー各社は世界各地の工場で稼働状況を高めつつあり、製鉄各社は今後の鋼材需要の回復に期待する。日鉄の宮本勝弘副社長によれば「足元で自動車の生産がかなり戻っている」。同社は10月~21年3月の単独粗鋼生産が、4~9月比で200万トン増の1690万トン程度に回復するとみる。

JFEも4~9月に1000万トン程度を見込む単独粗鋼生産が、10月~21年3月は1200万トンまで増えると試算している。JFEホールディングスの柿木厚司社長は、一時休止している高炉の再稼働を視野に入れる姿勢を示す。早ければ10月にも福山地区で高炉を再稼働させる考えだ。

それでも世界市場に目を転じれば「中国1強」には拍車がかかっている。世界鉄鋼協会によれば1~6月の中国の粗鋼生産量(速報値)は前年同期比1.4%増の4億9901万トンだった。公共投資による需要拡大で7月の粗鋼生産量も前年同月比9%増の9336万トンと、5月に更新した単月の過去最多の生産量を上回る結果だった。

国内の粗鋼生産の水準が回復しても中国企業の増産で鉄鉱石など原料の高止まりが続けば、日本企業の収益改善は遠のく。回復基調の需要を取り込みながら、中国勢が存在感を増す世界市場でも一定の収益をあげる。そんな複雑なかじ取りが必要になっている。

(永森拓馬、湯前宗太郎)

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