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バイデン氏、巨額投資にカジ 環境・ITに3兆ドル

(更新)
失業による支援を求め並ぶ人々(6月、米ケンタッキー州)=ロイター

【ワシントン=河浪武史】米民主党の大統領候補に指名されたジョー・バイデン前副大統領(77)は20日の演説で「米国は大恐慌以来の最悪の経済危機にある」と訴え、雇用や産業の再建を強調した。環境インフラやIT部門などに3兆ドル(約320兆円)近くを充て、1930年代のニューディール政策以来の大規模投資を公約する。

「1世紀近く前、フランクリン・ルーズベルトはニューディール政策で大量失業という不確実かつ恐怖の時代に打ち勝った」

バイデン氏が指名受諾演説で真っ先に挙げた先人は、自ら仕えたオバマ前大統領ではなく、大恐慌時に大規模な公共投資を打ち出したルーズベルト元大統領だった。新型コロナウイルスによって米失業率は10%を超え、戦後最悪の雇用情勢で選挙戦に突入する。バイデン氏は経済政策面で穏健派とされてきたが、30年代以来の大規模投資に舵(かじ)を切りつつある。

「気候変動は単なる危機ではなく、米国が再生エネルギーで世界を主導し、何百万人もの雇用を生み出す好機でもある」

バイデン氏の公共投資計画の中核は、4年間で2兆ドルという過去最大規模の資金を投じる環境インフラ部門だ。電気自動車(EV)の普及へ充電施設を50万カ所も新設。住宅の省エネ投資なども含めて、数百万人規模の大量の新規就労を生み出すと訴える。人工知能(AI)など製造業支援にも7千億ドルを投じ「500万人の雇用を生み出す」と主張した。

エネルギー政策は、石油産業からの支援を得たトランプ大統領が排ガス規制などの大胆な緩和を断行。19年には地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱も国連に通告している。バイデン氏は同協定への復帰を公約し、2035年には発電部門からの温暖化ガスの排出をゼロにすると明言する。

「上位1%の富裕層と巨大企業への課税の抜け穴を防げば、こうした投資の財源は確保できる。富裕層と巨大企業が公平に税を負担してきたのはかなり前のことだ」

トランプ氏は「選挙に勝てば給与税を免除する」と主張し、大型減税の第2弾を公約する。バイデン氏は低所得層の税額控除に言及する一方、個人所得税の最高税率の引き上げや、株式譲渡益や配当への課税強化を主張する。企業部門も含めて増税規模は10年で3兆ドル超と試算され、同1.5兆ドルだった「トランプ減税」の2倍の金額だ。

バイデン氏は新型コロナが深刻になった今春以降、サンダース上院議員と共同で政権公約を練り上げてきた。サンダース氏らの環境政策「グリーン・ニューディール」などを参考にし、党内の一大勢力となった急進左派の取り込みを図る。

バイデン陣営も雇用対策としてニューディール政策を深く研究しているという。所得税の最高税率を引き上げる格差是正策も、30年代のルーズベルト政権の大きな特色の一つだ。穏健派とされたバイデン氏だが、コロナ危機が同氏を「大きな政府」へと駆り立てている。

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