不稼働口座に手数料、北海道も拡大、削減や犯罪防止に

2020/8/21 19:00
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北海道銀行は不稼働口座への手数料導入を決めた(札幌市内のATMコーナー)

北海道銀行は不稼働口座への手数料導入を決めた(札幌市内のATMコーナー)

北海道内の金融機関で、2年以上取引のない普通預金口座の利用者に管理手数料を求める動きが広がる。稚内信用金庫(稚内市)や北空知信用金庫(深川市)が導入したほか、北海道銀行なども10月から始める。全国では約20金融機関が導入済みで、道内でも流れが加速しそうだ。

北海道では稚内信金が2月に道内の地域金融機関で初めて導入した。2月以降に新たに作った口座のうち、預け入れや払い出しなどが2年間ない場合が対象になる。2年間利用がないことを事前に知らせた後、3カ月経っても取引がなければ、年1320円(税込み)を徴収する。

既存の口座や普段取引がある口座のほか、残高1万円以上や融資の借り入れがある場合などは対象から除く。北空知信金が4月から、留萌信金(留萌市)が8月3日から始めた。北見信金(北見市)も10月から始める。

北海道銀も10月以降の新規口座で2年間利用がない場合に手数料を求める。既存口座は対象外だが、同行によると現時点で2年以上稼働しておらず残高が1万円未満の口座は、全体の17%にあたる45万口座に及ぶ。未導入の北洋銀行も同様の手数料の検討を続けている。

日本人は諸外国に比べ、1人あたりの銀行口座数が多いとされる。学生が道内の大学入学後に作ったものの、道外企業への就職を機に利用しなくなることなどから不稼働口座は生まれる。会社員らが道外に転勤した後に口座の存在を忘れてしまうことも多い。

長年使われない口座は詐欺やマネーロンダリング(資金洗浄)を招く恐れがある。道内のある信金では数年前、口座が別人に売られて詐欺に悪用された。預金者である地元の個人事業主が1年以上使っていない口座だったが、ある日突然、道外の個人からの振り込みや道外金融機関への送金が発生。行員が不審に思い調べたところ発覚した。

留学生が帰国後に他人に口座を売り渡し犯罪に使われたという例もある。「捜査当局からの照会で初めて気づくケースもある」(道内信用金庫)という。

金融機関では口座の不正利用などを防ぐため、定期的に取引をチェックしている。預金管理システムを維持するには、年数千万円ともいわれる費用がかかる。1口座分で換算すれば年1320円の手数料では補えないが、「利用のない口座の管理に要する最低限のコストを負担いただく」(留萌信金)ことで、少しでも維持費を減らしたい思いがある。

道内金融機関の多くは2年後に手数料が発生する口座はそれほどないとみる。新規口座は開設後しばらくは利用される傾向にあるためだ。

ただ、数年たつと利用が途絶える口座が出始めるだけに、ある信金の担当者は「手数料を既存口座にまで広げられれば即効性があった」と話す。

先行する信金では踏み込んだ対応も出てきた。4月から管理手数料を取り入れた城北信金(東京・北)は、新設分に加えて既存口座でも2年間取引がなければ手数料の対象とした。将来の不稼働口座を見据え、先手を打った。

大手行でも新設口座が2年間使われなければ手数料を課す検討が進む。みずほ銀行は21年1月から新たに口座を開く利用者に紙の預金通帳を発行する場合、1100円(税込み)の手数料を取ることを決めた。

収益力が弱まる道内金融機関でもサービスに見合った対価を求めるという考え方が広がるきっかけになりそうだ。(塩崎健太郎)

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