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米、対イラン国連制裁復活へ強弁「核合意参加を維持」

【ワシントン=中村亮、ニューヨーク=吉田圭織】トランプ米政権は20日、イランに対する国連制裁を完全復活させるための手続きに着手した。離脱したはずのイラン核合意について「法的には参加国のままだ」と強弁し、制裁復活の権限があると主張した。中国やロシアだけでなく、同盟国である欧州諸国も米国の主張に反発している。

ポンペオ米国務長官は「イランに対する圧力を強化する」と強調した(20日、ニューヨーク)=AP

「イランが普通の国として振る舞うよう圧力を強化するものだ」。ポンペオ国務長官は20日、ニューヨークでの記者会見で国連制裁の復活についてこう力説した。

米中ロ英独仏とイランは2015年にイランの核開発を大幅に制限する核合意を結んだ。合意に基づくイランへの武器禁輸措置は10月に期限が切れる。米国は禁輸措置を延長する決議案を提出したが、国連安全保障理事会は14日に否決した。

米国は対抗措置として核合意と引き換えに解除した国連制裁を復活させるべきだと判断し、手続きに着手した。15年の核合意を承認した安保理決議の規定では、合意参加国のいずれかがイランの合意違反を通告した場合、30日前後で国連制裁が再発動される仕組みだ。

焦点は米国の手続きの有効性だ。安保理決議は核合意参加国に制裁復活の権限を付与するが、米国は18年5月に核合意離脱を表明している。これに関し、ポンペオ氏は「我々が離脱した際に国連には通告しなかった。安保理決議(と合意)は別物だ」と指摘した。決議上は米国が核合意参加国として残っており、制裁復活を提起する権限があるとの主張だ。

米メディアによると、イランのザリフ外相は20日、米国は核合意から離脱済みだとして国連制裁を復活させる権限はないとする書簡を国連に提出した。安保理の各国に米国の主張を拒否するよう訴えた。

イランとの関係が深いロシアや中国だけでなく、欧州各国も反発している。欧州は国連制裁が復活すればイランが核合意にとどまる利点がほぼなくなり、核合意の崩壊につながりかねないと懸念する。

コロンビア大のラリー・ジョンソン教授はどちらの主張が正しいか現時点では判断できず「最終的には各国がそれぞれの立場を決めるしかない」と指摘する。中ロや欧州が制裁復活を止める新たな安保理決議を提起する方法もあるが、米国が拒否権を発動するのは確実だ。当面は米国とその他の主要国が批判の応酬を繰り広げるとみられる。

このタイミングで米国が対イラン制裁に向けた手続きを強行するのは、11月の米大統領選を意識したものとみられる。再選を目指すトランプ大統領は対立する民主党候補のバイデン前副大統領に支持率でリードされている。

支持基盤でイスラエルとの良好な関係を望むキリスト教福音派の指示を取り付けるため、イスラエルと敵対するイランへの強硬姿勢に傾いているようだ。イスラエルは米国が仲介する形でアラブ首長国連邦(UAE)との国交正常化を発表している。これまで敵対してきたイスラエルとアラブ諸国との関係改善を促し、イランへの制裁を復活させることで支持層に訴える戦略のようだ。

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