無人ボックスでデニムオーダーも 体験ストア「b8ta」

米国で新商品を気軽に試用できる体験型ストアを展開するb8ta(ベータ)が日本に初上陸し、東京・有楽町と新宿に「b8ta Tokyo」をオープンした。店内にはファッションアイテムをはじめ家電、デジタル機器、化粧品、食品、アクセサリーなど、衣食住にわたる多様なジャンルの最先端の商品が100アイテムほど並ぶ。
最先端の製品に「触れてから買う」
商品ごとに傍らにモニターを設置し、ブランドの説明や仕様を詳細に表示。客は触ったり、動かしたりして、自由に商品を試すことができる。気に入れば、オンラインストアへと案内され、店舗に在庫があればその場で購入することもできる。
JR有楽町駅にほど近い「b8ta Tokyo-Yurakucho」に入ると、店長役の家族型ロボット「LOVOT(ラボット)」がお出迎え。近寄って抱きかかえると、人肌ほどに温かさが感じられ、首元を優しくなでると、うれしそうな鳴き声を上げ、そのうち気持ちよさそうに眠ってしまう。そんな商品のリアルを体験できる空間が、b8taのコンセプトだ。



ファッションでもユニークなものがそろう。FABLIC TOKYOの「STAMP(スタンプ)」は、3Dスキャナーによる自動採寸の機能を持つボックスで、ジーンズをオンラインでオーダーできる無人のサービス。予約制で、LINEで事前登録をし、ボックス内でスキャニングを行う。24時間以内にLINEに3Dデータが届くので、シルエット、カラー、レングス、ポケットなどを選んでオーダーすれば、ジーンズが送られてくる仕組みだ。STAMPでは、今後、カジュアルウエア全般のオーダーも予定しており、その際、同じ3Dデータが活用できるという。
また、保温性に優れる特殊起毛の生地を使用したファクトリーブランド「Yetina(イエティナ)」のスエットや、カポックと呼ばれる植物繊維を使い、薄手ながらダウンジャケット並みの暖かさが売り物の「KAPOK KNOT(カポック ノット)」のステンカラーコートなども並ぶ。


扱うファッションブランドはネット通販を主な販路とする商品が多く、ここで実際に生地を触ったり、羽織ったりして、特徴や良さを実感できる。
服飾雑貨も多彩だ。折りたたみ式のソーラーパネルを搭載し、USB充電ができるバックパックのコリンデザイン「ハイパックソーラー」、超薄型でズボンのポケットに折り畳んで収まるCORES「less is 手ぶらエコバッグ」、ジュエリーにイヤフォン機能を持たせたテイクシングスホームの「Emmesphere Sound Necklace」、文字盤を動く玉の位置により見なくても触って時刻が分かるEone Japan「イーワン」、摂取カロリーや水分バランスを自動で計測できるスマートウォッチのHEALBE「GoBe3」などもラインアップする。


「新しい発見と体験をお客様に届け、思いがけない商品やサービスとの出合いを提供したい」とベータ・ジャパンのストアオペレーションマネージャーの堀切陽介氏は品ぞろえに自信を見せる。
新興ブランドのテストマーケティングに活用も
同店では売り場が100ほどの区画(40cm×60cm)に分けられており、出店を希望する企業が、1区画あたり月額30万円の賃料を支払い、自分の売り場を持てる仕組みだ。半年以上の契約が条件だ。

店内には多数のカメラが設置され、来店客の行動や導線をデータ化、接客するスタッフも顧客の疑問や嗜好をレポートするなど、企業の製品改良や市場調査にも役立てることができる。限られた予算のなかで立地の良い店舗でプレゼンテーションやマーケティングに活用できるというメリットがある。
実店舗を出店する際に大きなハードルとなるスタッフの手配、在庫管理、物流サポートなどをb8taが引き受けるビジネスモデルで、「企業は手軽に顧客との接点を作ることができる」(堀切氏)という。
出店する多くは新興の企業やブランド。「商品説明の際には商品の使い方や機能だけでなく、メーカーが掲げる社会的ミッション、ストーリーから伝えるようにしている」(同)といい、店舗スタッフはすべての商品が説明できるよう教育を受けている。
米b8taは、2019年にロサンゼルス、20年にはサンフランシスコにファッション専門のショップもオープンした。今後、日本でもファッションブランドなどのテストマーケティングなどにも活用されそうだ。
(石井和也)




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