対話継続で一致、中印、国境問題くすぶる火種
【北京=羽田野主】中国外務省は20日、インドとの係争地と巡り、同国側と事務レベルで協議したと発表した。「軍と外交の対話のパイプを維持し、緊張緩和を進めることで一致した」と説明した。インド側は中国がこの地域に新たな建造物を設けたことに不満を募らせており、火種は残る。

6月にインド北部のラダック地方にある係争地で衝突後、両国軍は撤収で合意した。だが、インド側は中国軍が撤収していないとみている。
中国外務省は20日の発表で「両国の第一線の部隊が互いに接触しないよう、(係争地から)離脱したことを積極的に評価した」と主張した。一方、今回の事務レベル協議について、インドのメディアは「離脱を巡る協議は前進がなく、失敗に終わった」と指摘した。
インドのメディア、インディアトゥデイは7月末、衛星写真を活用し、ラダック地方の係争地にあるパンゴン・ツォという湖のあたりで中国軍が兵士のための建物をつくり、桟橋にボートなどを配備していたと報じた。
インドのモディ首相は15日の独立記念日での演説で「テロリズムや拡張主義と戦い、双方に打ち勝つ」と強調した。国境付近で軍同士が衝突した中国も念頭に置いた発言と受け止められている。
中国が建築物を建てた場所は標高4000メートルを超える高地にあり、中印両国にまたがる。北京の外交筋は「これから気温は下がる。(国境付近で)越冬の準備をするのか撤退するのか、中印はぎりぎりの判断を迫られている」と分析する。