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コウノトリ、東日本初の赤ちゃん巣立つ

栃木など4県にまたがる渡良瀬遊水地で国の特別天然記念物コウノトリが2羽生まれ、この夏、巣立った。2005年に野生復帰に向け放鳥が兵庫県から始まって以来、野外繁殖による赤ちゃんは東日本では初。「幸の鳥」が地元だけでなく各地に幸せを運んでいる。

水田を並んで歩くコウノトリの家族(12日、栃木県小山市、石川宜延さん撮影)=共同

8月3日、人工巣塔がある栃木県小山市。1羽が飛び立つと、もう1羽が後を追う。千件以上の公募で名前が決まった雄の「わたる」と雌の「ゆう」。照りつける日差しの中、幼い仲良しきょうだいを県内外からの愛鳥家らが見守る。千葉県野田市生まれの雄「ひかる」と徳島県鳴門市生まれの雌「歌」の親鳥ペアも子育てに奮闘していた。

地元では観察を通じ仲良くなった人が「見守り隊」を結成。メンバーの石川宜延さん(73)=栃木県栃木市=は「初孫ができた気分」と、ひなの成長をそっと見守っている。

撮影した写真を「コウノトリ市民科学」に投稿するのも日課。鳥との共生を目指し全国約350人の市民調査員が目撃情報などを共有するウェブサイトで、これまで2万件以上が寄せられた。石川さんの丁寧な観察もあり、ひかる一家はそこで一躍脚光を浴びている。

親鳥がつがいになった3月、小山市は「特別婚姻届」を発行。歌の故郷、鳴門市は地域伝統の「花嫁菓子」を贈った。5月末ごろ、ひなが誕生すると、ひかるが生まれた野田市のほか、福井県越前市、埼玉県鴻巣市なども祝いの言葉を寄せた。

かつて日本各地に生息したコウノトリだが明治時代以降の乱獲や環境汚染で減少、1971年に野生の個体が絶滅した。兵庫県や同県立コウノトリの郷公園を中心に、人工繁殖や放鳥を粘り強く続け野外個体は217羽(今年7月末、コウノトリの郷公園まとめ)まで回復。全47都道府県への飛来も確認された。地道な積み重ねの先に、東日本初の快挙は生まれた。

野生復帰事業に尽力してきた兵庫県立大大学院の大迫義人教授(63)は「田園生態系で食物連鎖の頂点に位置するコウノトリの野生復帰は生物多様性につながる。無農薬農法などで人間への恩恵も多い」と強調する。

ひなたちは秋ごろから各地を飛び回る可能性がある。ただ、防鳥ネットなどによる死傷のリスクがあるほか、人間が適切な距離を保つことも欠かせない。大迫教授は「150メートル以上離れるなどルールを守って観察してほしい。いつか鳥と人間が互いに無視できるくらいになるのが理想」と、飛来地での優しい見守りや共生を期待する。〔共同〕

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