高専×AI、学生の起業進む 香川高専で2例目

2020/8/20 20:15
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起業について会見した武智大河さん(20日、香川県三豊市)

起業について会見した武智大河さん(20日、香川県三豊市)

高等専門学校のロボットなどの技術力と人工知能(AI)を組み合わせた学生の起業が進んでいる。国立香川高等専門学校詫間キャンパス(香川県三豊市)の学生が電線点検にAIを活用する企業を設立した。香川出身でAI研究の第一人者、松尾豊・東京大学大学院教授らが支援する同高専で2例目となる起業で、地方発のイノベーションが生まれる可能性がある。

「三豊AI開発」(三豊市)を起業した専攻科1年の武智大河さん(21)は、送電線の損傷具合を判定するシステムを開発する。高専の研究室を通じて点検ロボットの製造・運用を手掛けるテクノ・サクセス(高松市)とロボットを共同開発してきた。三豊AI開発はディープラーニング(深層学習)技術を用いた判定技術を研究する。

テクノ・サクセスの送電線点検ロボット。3台のカメラで全方位から撮影する

テクノ・サクセスの送電線点検ロボット。3台のカメラで全方位から撮影する

送電線の点検は現在、目視により損傷度合いを判定している。3台のカメラを搭載したテクノ・サクセスの点検ロボットが線の上を伝って集めた動画を分析し、正常である確率を示す。正常な送電線や損傷した線の映像をデータとして取り込み精度の向上を図る。目視より点検スピードと精度の向上が期待できる。

送配電事業者から集めた送電線のデータを分析し、解析費用として収益を得るビジネスプランを立てる。1年を実証実験期間として判定精度などを検証していく。技術が確立した後に、送配電事業者や送電工事会社に判定システムを提供する考え。

愛媛県出身の武智さんはロボットに関心があったことから「ロボットコンテスト」の強豪校である香川高専に進んだ。2019年、ものづくりの技術とディープラーニングを活用した作品の事業性を競う大会「DCON2019」で準優勝した。技術をビジネスとして考え、結果を残せた経験が、起業を意識するきっかけとなった。

AIを初めて学んだのはわずか2年前で、勉強会や独学を通じて技術を身につけた。20日に香川高専詫間キャンパスで開催した設立会見で、武智さんは「ロボットやAIなど事業で使う技術を理解していることが自分の強み」と話した。

香川高専と東大松尾研究室、三豊市は松尾研のサテライト研究室として同市内に「MAiZM(マイズム)」を19年に設立し、AI人材の育成や事業創出で連携している。起業に際しては技術的指導だけでなく、経営や会社の組織体制など社会の仕組みから顧客への振るまい方に至るまで、幅広くアドバイスしてきた。

香川高専発スタートアップの1号は5年の田貝奈央さんが起業したPanda(三豊市)だ。ドライブレコーダーの映像分析にAIを活用し、「あおり運転」を検知・通報するシステム作りに取り組む。武智さんが出場した「DCON2019」で優勝した長岡工業高等専門学校(新潟県長岡市)のチームでもスタートアップが立ち上がっている。

松尾教授は「高専からスタートアップが生まれる流れができつつある」と見ており、日本全国から地域経済を活性化する動きが生まれれば「地方創生に向けた有効な手段の一つになる」と話した。(桜木浩己)

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