韓国、コロナ防疫に試練 文在寅政権に強まる逆風

2020/8/20 18:42
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集団感染が発生したソウルの教会近くの保健所では検査を待つ行列ができた

集団感染が発生したソウルの教会近くの保健所では検査を待つ行列ができた

【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の新型コロナウイルスの防疫体制が試練に直面している。ソウルなど首都圏で集団感染が多発し、1日あたり新規感染者は20日で7日続けて100人を超えた。韓国はコロナ対策を比較的うまく進めてきたが、感染が広がり続けると文在寅(ムン・ジェイン)政権への逆風が強まりかねない。

「現段階で統制できなければ全国的な大流行に拡散する重大な岐路だ」。丁世均(チョン・セギュン)首相は18日、首都圏でのコロナ防疫の強化策を発表した。

ソウル市と仁川市、京畿道を対象に、室内では50人以上、屋外では100人以上の集会を禁止。クラブやカラオケなど12業種の営業を禁じた。宗教施設はオンラインを除き礼拝も禁じている。

数十人で推移してきた新規感染者が急増したのは13日からだ。ソウルの大型教会で集団感染が発生し、当局が約2千人の信徒を対象に一斉検査を実施した。16日には279人と5カ月ぶりに200人台に乗せ、20日も288人と高水準が続く。

韓国は2月にも中部の大邱市を中心に新興教団による大規模な集団感染が発生している。ピーク時には1日の新規感染者が800人を超えた。数の上では当時よりも少ないが、韓国政府の危機感は強い。首都圏が舞台となり、集団感染が同時に多発しているためだ。

感染拡大の影響は政界に広がっている。ラジオ局CBSは19日、社員の感染で局全体が閉鎖され通常の放送ができなくなった。同局番組に出演した与党「共に民主党」の李洛淵(イ・ナギョン)議員は検査結果が陰性だったが、濃厚接触者として2週間の隔離に入った。同党は29日に党代表選を控えるが、有力候補の隔離を受けて延期論も浮上している。

韓国の防疫体制の強みは携帯電話の位置情報などを活用した感染経路の徹底的な把握にあった。感染拡大を抑制したことで都市封鎖は選択されず、人々はほぼ日常通りの生活を送ることができた。結果として経済への影響を最小限に食い止めてきた。

韓国銀行(中央銀行)が発表した韓国の4~6月期の実質成長率はマイナス3.3%。下落幅は日本や米国に比べて小さかった。経済協力開発機構(OECD)によると2020年の成長率予測でも韓国はマイナス0.8%と、加盟国中で下落幅が最も小さい。

効果的なコロナ対策は文政権の浮揚にも大きな役割を果たしてきた。4月の総選挙では与党「共に民主党」圧勝の決定打となった。韓国のコロナ対策が世界で評価されだすと、音楽のKポップをもじり「K防疫」と命名した。「コロナとの闘いで世界の先頭に立つ文大統領」というイメージをつくり上げた。世論調査会社の韓国ギャラップによると、5月第1週の支持率は71%に達した。

ただ文政権には逆風が吹いている。不動産価格の高騰と与党政治家の不祥事が響き、リアルメーターの世論調査では7月第3週から「不支持」が「支持」を上回る。8月第2週の調査では保守系野党「未来統合党」の支持率が与党を上回った。コロナ対策のかじ取りを誤れば、支持率の一段の低下が避けられない。

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