ソウル、大胆アレンジ健在 上田正樹ライブ(音楽評)

2020/8/21 2:00
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10年ぶりのアルバムにあわせたライブとなった

10年ぶりのアルバムにあわせたライブとなった

デビュー以来、R&Bをひと筋に追求してきた上田正樹。今やその活動範囲はアジア圏に広がり、名実ともに日本を代表するソウルシンガーだ。10年ぶりのオリジナルアルバム「ソウル・トゥ・ソウル」を引っ提げてのライブを、去る3日、大阪・梅田のビルボードLIVEで観(み)た。

バックをつとめるのは、ネーミングもそのものズバリのR&B Band。上田の長年の盟友であるギタリストの有山じゅんじをはじめ、精鋭メンバーが揃(そろ)った5人編成だ。

オープニング曲は、ニューアルバムから「心配スナ 安心スナ」。バンドが弾(はじ)き出すリズムと一体となった上田のボーカルのグルーヴ感というか、スウィング感が心地良い。

上田の代表曲といえば一般的には1982年のヒット曲「悲しい色やね」で、もちろんこの日も披露したが大幅にアレンジされていた。ニューアルバムでは押尾コータローをゲストに迎えたアコースティック・バージョンだったが、それとはまた違ったアレンジで、一瞬「何の曲?」と思わせるほどの大胆さ。思えば近年のボブ・ディランもこの手法だった。ファンからすれば原曲のままの演奏で聴きたいとの思いが強いかと思うが、上田も「これが僕のやり方」と言っていたように、R&Bはその日の気分のまま、瞬間をキャッチしてフェイクやインプロヴィゼーション(即興)を重視する音楽ということなのだ。

ミュージシャンの中には「ファンが喜ぶから原曲のまま演奏する」と言う人も多く、それはそれで一理あり、この賛否両論は常に平行線のままである。

いずれにしろ、この日のライブから上田の音楽への愛や情熱は年齢を重ねてますます強くなっているとの印象を受けた。

(音楽評論家 石井 誠)

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