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コロナ「重症者」定義、国と東京都にズレ 分析に支障も

(更新)

東京都が新型コロナウイルスの重症者の定義を変更し、人工呼吸器などを使用していない集中治療室(ICU)の患者を除外していたことに疑問の声が上がっている。定義が地域ごとに異なると感染状況を比較しにくくなる。専門家は「データの信頼性が揺らぎかねない」と懸念を示す。

厚生労働省が4月下旬に出した自治体向けの通知は(1)ICUで治療(2)人工呼吸器を使用(3)体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)を使用――のいずれかに当てはまる場合を重症と定義し、重症者数を国に報告するよう求めている。

東京都によると、都は4月27日から(2)と(3)に該当しないICU患者を重症者の集計から除外した。病床の空き状況などの都合で重症でない患者が一時的にICUに入るケースがあり、専門家から「適切に実態を把握するにはICU患者を含めない方がよい」と助言を受けたという。

聖マリアンナ医大病院の集中治療室(ICU)で4月、新型コロナウイルスの重症患者の治療に当たる医療従事者(川崎市、画像の一部を加工しています)=共同

8月19日時点で都が発表している都内の重症者は32人だが、都の担当者は「ICU患者を含めると10人前後増えるとみられる」と説明する。

重症者病床の利用率などが低く計算される可能性があり、厚労省は都の対応を問題視する。同省の担当者は7月下旬ごろに都の重症割合が少ないことに疑問を抱き、ICU患者が含まれていないことを把握。「統一の基準が望ましい」とし、都に対して通知に沿った報告を求めてきた。

都の担当者は19日夜、「定義の変更は厚労省にも報告していた。省内の部署間で伝わっていなかったのではないか」と説明。20日以降、毎週木曜日に厚労省の定義に基づいた重症者数を同省に報告すると譲歩しつつ、今後も都としての毎日の集計にはICU患者を含めない方針を示した。

定義の違いは他地域との感染状況の比較にも支障が出かねない。

大阪府は8月16日の重症者が過去最多の72人となり、東京都の3倍近くになった。大阪は国の通知に従い、ICU患者を重症者に計上している。

吉村洋文知事は19日、重症者が東京を大きく上回る状況について、定義の違いに言及しつつ「要素としてはあるが、決定打ではない。直接的な原因は分からない」と説明。大阪は高齢者を含めた家族で暮らす家庭が多い点なども考慮して、感染状況を分析する必要があるとする。

現在の感染状況について、国は重症者や死者が少ない点などで第1波とは異なると説明してきた。寺嶋毅・東京歯科大教授(呼吸器病学)は「重症者の基準が途中で変わったとすると前提自体が覆りかねない。感染状況の分析にも影響する」と指摘する。

そのうえで「ICUに中等症の患者を収容する事態も想定されるが、ICUを使っている事実に変わりはない。重症者数が医療提供体制の逼迫度の目安となっている以上、症状にかかわらず重症者として計上すべきだ」と話している。

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