情報確認に健康管理も 働く人向けのスマートウオッチ

情報確認や健康管理など便利なスマートウオッチ。コロナ禍による在宅勤務で運動不足に悩む人も多い。ビジネスパーソンにお薦めの製品を専門家が選んだ。
1位 アップルウォッチ シリーズ5
対応アプリ豊富 通話も可能

スマートウオッチは時計型の身につけるコンピューター。自分のスマホを登録し無線で連携し、文字盤を兼ねるパネルに触れて操作するものが多い。スマホ宛ての電話やメールの着信を確認できるほか、心拍などのセンサーを内蔵、健康状態や運動のデータ管理もできる。
アップルウォッチはその草分け。2019年の全機種の出荷本数は3070万本とスイス時計ブランドの合計を上回るという。最新のシリーズ5はアプリなどの機能の豊富さに支持が集まった。
「長期にわたり基本ソフトの更新があり、最新の機能やアプリに対応できる。シリーズ5は転倒して意識を失ったときに119番通報してくれる機能が年配者に心強い」(太田百合子さん)。近くに自分のスマホがあれば通話できる機種は他社にもあるが、シリーズ5は上位10位内で唯一、スマホを持たずに単独で通話できる機種がある。
「キャッシュレス決済ができる」(井上晃さん)ほか、交換できるベルトも別売りで数百種類用意されている。アップルウォッチはiPhone利用者しか使えない。バッテリー持続時間は短めで、フル充電には付属のマグネット式充電器で2.5時間かかる。サイズは縦40ミリと同44ミリの2種類。
(1)価格4万7080円~(2)本体重量30.8~47.8グラム(3)バッテリー持続時間18時間(4)問い合わせ先電話0120-993993
2位 フェニックス6X プロ デュアル パワー
運動サポート機能が充実

アップルと並びSuica(スイカ)での決済に対応。メール・通話の着信通知など「日常使いの機能もツボを押さえている」(本田雅一さん)ほか、スポーツを支援する機能やヘルスケア機能も優れている。
全地球測位システム(GPS)のほか、気圧や高度など多数のセンサーとゴルフやスキーなど様々なスポーツに対応したアプリを用意。記録管理や現在地を確認できる。ジャイロセンサーなどで階段の上りを計測、消費カロリーを算出。バッテリー持続時間を太陽電池で延ばせる。「値段は張るがチタン合金の頑丈なボディーは信頼性が高い」(尾田和実さん)。直径51ミリの大きさは好みが分かれそう。「ボタン操作には慣れが必要」(広田雅将さん)。
(1)14万3000~17万9300円(2)54グラム(3)最大24日間(4)0570-049530
3位 ギャラクシー ウォッチ アクティブ2
高度な機能 文字盤好みに

アップルに迫る高度な機能と、デザインを変更できる文字盤に評価が集まった。
心拍や加速度のセンサーを搭載し、7種類の運動や睡眠の状態などを記録。達成度や睡眠パターンを確認できる。メールや電話の着信通知を受ける以外に、近くにスマホがあれば手元で電話を受発信したり、メールを確認したりできる。
カラフルな幾何学模様にするなど、「変更できる文字盤もいい」(石川温さん)。直径40ミリと同44ミリの2サイズを展開。内蔵機能は充実しているものの「追加可能なアプリが少ない」(西田宗千佳さん)との声もある。
(1)3万7000~4万1000円前後(2)42グラム(3)43~60時間(4)0120-363905
4位 ファーウェイウォッチ GT2e
ストレスチェックも

約2週間持続するバッテリーとストレスマネジメントなどが注目を集めた。「肉体だけでなく精神面のコンディションを整えるのに役立つ」と太田さん。心拍センサーのデータなどを基に最新のストレスレベル(99段階)を表示したり、評価コメントをスマホで確認できたりする(アンドロイド搭載のスマホのみ)。
15種類の運動の記録管理などもでき、「フィットネス機能が充実している」(矢崎飛鳥さん)。コストパフォーマンスの高さに注目する人も多かった。
(1)2万1780円(2)43.5グラム(3)約2週間(4)0120-798288
5位 コライダーハイブリッド スマートウォッチHR
アナログとデジタル融合

2針式のアナログ時計に見えながら、心拍センサーなどスマートウオッチの基本機能を備える。
文字盤には心拍数のほか歩数、消費カロリー、天気情報なども表示できる。スマホと連携したメールの着信通知や睡眠状態の管理も可能だ。「文字盤は電子ペーパーとアナログ時計を組み合わせたデザインがよい」(本田さん)。文字が見やすく、ボタンで表示が切り替わる。省電力のためバッテリーが2週間持つ。「男性はスーツとのコーディネートもしやすそう」(松村太郎さん)
(1)2万9150~3万1900円(2)62グラム(ベルト含む)(3)2週間(4)03-4578-3360

スマートウオッチとしての情報機能は時計本体ではなく、ベルトにある「スマートベルト」とでもいうべき斬新な発想が評価を集めた。
ベルトに設けた細長いディスプレーを通じ、スマホへの電話着信や電池残量、その日の歩数などを表示する仕組み。
「時計部分は自分の好きな時計を選べるのが魅力」(石川さん)。専用の接続部品(一部別売り)で取り付け部の幅が18~22ミリまで対応。専用の時計も販売しているほか、セイコーとコラボした限定商品=写真上もある。
(1)3万8280円(時計部分除く)(2)85グラム(3)約1週間(4)https://first-flight.sony.com/contact
7位 スチールHR
おしゃれなフレンチデザイン

健康関連を中心に絞り込まれた機能とアナログ風の文字盤にデジタル表示を組み合わせたデザインが「機能はシンプルだが時計+健康管理のウオッチと考えると十分」(西田さん)と評価を得た。
文字盤はメールや電話などの着信通知のほか、心拍数、歩数、消費カロリーなどを表示。スポーツや睡眠時の心拍数などを記録し、目標達成状況などを管理できる。水泳中の着用も可能。「ベルトの装着感もよい」(広田さん)、「仏ならではのデザインはスーツでもカジュアルでもなじむ」(鈴木麻里子さん)との声も。
(1)2万5718~3万6240円(2)39~49グラム(3)25日間(4)http://gp.supportweb.jp/
8位 フィットビット ヴァーサ2
睡眠の質高める

心拍や加速度のセンサーで眠りの深さなどを計測し、睡眠の質を独自の基準で100点満点で採点。アプリで同年代の人と比較できる。「睡眠関連の機能に力を入れており、健康意識の高い人にお薦め」(鈴木さん)
専用アプリでダイエットなど同じ関心を持つ人と情報共有したり、米アマゾン・ドット・コムの音声AI(人工知能)「アレクサ」を内蔵し、質問に文章で答えてもらったりもできる。「手ごろな価格と使い勝手の良さのバランスがいい」(井上さん)
(1)2万7490円(2)約40グラム(ベルト含む)(3)5日以上(4)0120-998549
9位 フォルスター3
スーツと好相性

健康管理など充実した機能とシンプルなデザインに評価が高い。
スマホの近くで専用アプリを使い電話の受発信ができるほか、グーグルの音声AI「グーグルアシスタント」を内蔵、検索した道順や翻訳文を音声で確認できる。内蔵スピーカーで耳に近づけなくても音声を聞ける。
防水仕様でアプリで水泳時の距離など記録もとれる。滝田勝紀さんは「スーツに合い、ベルトも替えられファッションアクセサリーにもなる」と評価。広田さんは「大ぶりだが薄く付け心地がいい」とみる。
(1)4万6200円(2)58~105グラム(ベルト含む)(3)24時間(4)03-4540-6653
10位 サミット2
時差ボケを軽減

心拍測定など標準的な機能は備えつつ、万年筆などで知られる高級感のあるデザインが支持を集めた。
ユニークなのは時差ボケを軽減する機能。スマホに別売りアプリを入れ、日程を登録すると、ウオッチが時差ボケしにくい食事などの時間を振動などで教えてくれる。「海外出張が多い人にお薦め」(渋谷さん)。ランニング用アプリでは理想的な運動時間などを算出し、目標到達を振動などで教えてくれる。「上質な万年筆のような質感」(尾田さん)と評価も聞かれるが、「価格が高すぎる」(滝田さん)との声も。
(1)12万7490~15万7740円(2)110.4グラム(3)24時間(4)0120-998291
使い方に合わせて選ぶ

スマートウオッチは多種多様だ。アップルウォッチに代表される多機能タイプ、ウィジングズなど腕時計に絞り込んだ機能を付けたシンプルなタイプ、ガーミンのようにランニングなどスポーツ向け機能を強化したものなどがある。大半の製品は男女兼用だ。ジャーナリストの本田雅一さんは「自分が何をしたいか目的を考えて選ぶこと」と話す。
トレンドは心拍計と全地球測位システム(GPS)機能を内蔵したタイプ。心拍計は運動や睡眠のデータを取るのに欠かせない。「身一つでランニングするときは、ルートを記録するためGPSを内蔵したものが便利」(太田百合子さん)。行動範囲に合わせて確認した方がいいのはバッテリー持続時間。1日半程度のものもあれば1~2週間持つものもある。Suicaなどのキャッシュレス決済機能も機種によって対応方式が異なるので注意が必要だ。
意外に重要なのはベルト。「装着感は事前に試した方がいい」(井上晃さん)。心拍数など装着者の様々な情報を長期間記録して、健康管理に役立てるものが多いからだ。アップルやガーミンのようにビジネスや運動などTPOに合わせて、ベルトを簡単に脱着交換できるタイプは便利だ。本体が黒でもベルトがおしゃれなら女性も使いやすい。
ランキングの見方
調査の方法
今週の専門家
(生活情報部 堀聡)
[NIKKEIプラス1 2020年8月22日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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