S&P500、半年ぶり最高値 コロナ禍でも緩和マネー流入

2020/8/19 5:17 (2020/8/19 6:34更新)
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米ニューヨーク証券取引所=ロイター

米ニューヨーク証券取引所=ロイター

【ニューヨーク=宮本岳則】18日の米株市場で、機関投資家が重視するS&P500指数は前日比0.23%高の3389.78で終え、約6カ月ぶりに史上最高値を更新した。米アマゾン・ドット・コムなど大型株が総じて堅調で、株価指数を押し上げた。

一方、ダウ工業株30種平均は続落し、同66ドル84セント(0.24%)安の2万7778ドル07セントとなった。18日のハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も再び最高値を更新した。米経済は落ち込みからの回復が緩慢だ。追加の経済対策の成立も遅れるなか、米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和が投資家のリスク選好を支える。

S&P500の最高値更新はナスダックに比べて約2カ月遅れだ。株式相場は新型コロナウイルスのまん延と経済活動の休止で3月に大きく落ち込んだ。その後、初期の株価回復をけん引したのはハイテク株だった。新型コロナや景気に業績が左右されにくく、マネーが集中した。ナスダックに比べてハイテク株の比率が低いS&P500やダウ平均は出遅れた。

7月以降、買われる銘柄の幅は広がってきた。主要500社の業種別株価指数の上昇率をみると、産業機械や工業製品など「資本財」や、化学や非鉄金属を含む「素材」はIT(情報技術)を上回る。20年4~6月期の企業業績が市場の事前予想ほど悪くなかったことが大きい。

ハイテク株の上昇ピッチが速く、「買われすぎ」との見方が広がるなか、マネーの一部が、敬遠されてきた景気敏感銘柄に移り、S&P500指数を最高値に押し上げた。

もっとも、景気回復のスピードはゆるやかだ。ニューヨーク連銀が複数の景気指標で算出する「週間経済活動指数」をみると、8月15日時点で米国内総生産(GDP)成長率が前期比5.72%減になっていることを示唆する。年換算で2割程度のマイナスだ。2020年4~6月期の同32.9%減に比べて改善しているものの、「V字回復」とは言い難い。

米議会の追加経済対策の協議は難航している。州や自治体への支援などを巡って、与党・共和党と野党・民主党が合意できず、9月まで結論が持ち越しになるとの見方が浮上してきた。十分な経済対策がないまま、高い失業率と新型コロナの感染拡大が続けば「経済が失速する」(米運用会社インベスコのクリスティーナ・フーパー氏)との見方も出ている。

「景気回復なき株高」を支えるのは、FRBによる金融緩和だ。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では「22年まで利上げなし」との見通しが公表され、7月の会合でもパウエル議長は緩和が長期にわたるとの認識を示した。米ジョーンズトレーディングのマイケル・オルーク氏は「FRBの緩和姿勢が、実体経済の弱さを無視した株高をもたらした」と指摘する。余剰マネーがハイテクと景気敏感株の間を循環し、株価指数を押し上げている。

8月に入っても米金融当局者の慎重な見方は変わっていないようだ。ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は12日の会合で、経済活動の減速は続く可能性が高いとの見解を示した。景気の回復が遅れれば、緩和策の強化やゼロ金利の長期化が予想され、投資家はリスクをとりやすくなる。ワクチンの早期承認で経済活動の正常化が早く進むとしても、FRBが急に金融引き締めに転じるとは考えにくい。「景気回復なき株高」が止まらないゆえんだ。

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