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インドで暗号資産取引再開 投資対象、定着なるか

インド人は貯蓄資産として預金より金や不動産を選好する。暗号資産も貯蓄手段として広がる可能性がある。

インドで暗号資産(仮想通貨)ビジネスがにわかに活気づいている。同国最高裁判所が3月上旬、中央銀行が金融機関に暗号資産取扱業者との取引を禁じていた通達を違憲とする判決を出したのがきっかけだ。一時は活動休止状態だった国内業者が営業を再開。海外勢もインド向けの投資や営業を再加速させている。

情報サイトの「UsefulTulips・org」によると、暗号資産の直接取引仲介サービスを手掛ける欧米大手2社が仲介したインドルピー対ビットコインの月間取引高は7月、3月の2倍弱の1626万ドル(約17億円)に上った。最高裁の判決後、インド国内銀行口座の保有者が利用するようになったためだ。

地元の暗号資産取引業者も、相次ぎ国内でのルピー建て取引を再開した。ウノコイン(本拠地ベンガルール)、コインDCX(ムンバイ)、ワジールX(同)が代表例で、3社ともすぐに利用者が戻った。現在は1日の取引高が数百万~1千万ドル強の規模になる。

コインDCXは、最高裁判決直後の3月と5月に相次いで合計550万ドルを米ベイン・キャピタルなどの海外投資家から調達した。「インドで暗号資産を投資対象として定着させるという我々のビジョンに対する、大きな信任投票だ」。最高経営責任者(CEO)のスミット・グプタ氏は同社公式ブログで語った。

ワジールXは昨秋、世界大手のバイナンス傘下に入った。双方の取引所への相互乗り入れを可能にしており、バイナンスの国際的なネットワークに加わる形で国際志向のインド人投資家をひき付ける。

新規参入も相次ぐ。トレードホーン取引所(ベンガルール)とビットポロ・テクノロジーズ(同)などで、いずれも初めて暗号資産に投資する個人をターゲットに、裾野を広げる。

インドではインフレ懸念から人々が貯蓄資産として銀行預金よりも金や不動産を選ぶ傾向が強い。コロナ禍で財政赤字が膨らみルピーの価値が不安定になると、史上最高値水準で推移する金に代わる貯蓄資産として暗号資産の人気が一気に高まる可能性もある。そうなれば、新しい産業として雇用創出も期待できる。

半面、暗号資産は資本逃避にもなるだけに、規制の落としどころはそう簡単に見つからない。政府は全面利用禁止も含めた包括規制法案を検討しているとされる。法案の中身が明らかになれば、役人や政治家だけでなく業界当事者や中央銀行などによる激しい論戦になるだろう。事業者も投資家も当面、先行きが見えないなかで事業を進める状況が続きそうだ。

(編集委員 小柳建彦)

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