ギリシャに流れる中国マネー 不動産やインフラ
Nikkei Asian Reviewから

2020/8/18 19:12
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アテネ東部で中国人向けに住宅を販売する不動産業者(撮影=Yannis Kolesidis)

アテネ東部で中国人向けに住宅を販売する不動産業者(撮影=Yannis Kolesidis)

【アテネ=ヤニス・セフェリアディス】ギリシャに中国マネーが流れ込んでいる。外国から投資を呼び込みたいギリシャと、インフラ整備などを通じて存在感を高めたい中国の思惑が一致した。古代文明が隆盛しシルクロードでつながっていた両国が、経済的、地政学的に関係を深めている。

2018年、中国人男性チャオ・チェン氏は妻と7歳の息子とともに中国からギリシャへと移り住んだ。中国の高い教育費と大気汚染を懸念したためだ。25万ユーロ(約3100万円)で郊外にある新築の家を購入した。「息子を私立校に通わせ、毎朝木々に囲まれた環境で目覚められるようになった」と満足げだ。

チェン氏はギリシャで「ゴールデン・ビザ」と呼ばれる居住許可を取得した。ギリシャの不動産へ25万ユーロ以上の投資をすれば取得できる。欧州で域内の移動の自由を定めたシェンゲン協定国26カ国へのフリーパスでもある。5年ごとに更新する必要があるが、親と21歳までの子供が不動産の購入者に帯同できる。

同制度は債務問題で苦しんでいたギリシャが海外から資金を呼び込むために13年に実施した。ヨルギアディス開発投資相は「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)でも制度をより容易なものにしていきたい」と話す。実施から6年で7800以上のビザを出し26億ユーロが集まったが、投資をした7割以上を中国人が占めている。

中国人と中国マネーが集まったのは、中国共産党系メディアが中国とギリシャとの良好な関係を報道したことにある。習近平(シー・ジンピン)国家主席はギリシャと中国の文化が似ていることを強調し、ミツォタキス首相も「他の国が避けるなか、中国はギリシャに投資してくれた」と発言した。

中国が広域経済圏構想「一帯一路」を進めるなか、不動産だけでなくインフラ分野にも中国マネーは広がる。中国の国有海運大手、中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)はギリシャのピレウス港へ投資し運営も手掛けている。中国国有の国家電網は17年にギリシャの送電会社の株式24%を取得した。

中国からの投資への依存が増え、ギリシャが中国に傾倒するような行動も垣間見える。ギリシャは17年に中国の人権問題を批判する欧州連合(EU)の声明に反対した。EUが香港国家安全維持法への対抗措置を議論するなか、ギリシャは強硬な手段を講じることに反対している。

EU各国や米国はギリシャにとって引き続き重要なパートナーだが、あらゆる問題で中国と対立している。今後のギリシャの外交や経済政策では難しいかじ取りとバランスが求められることになる。(記事の原文は以下のバナーから英文でお読みください)

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