台湾、「中国大陸」企業の投資規制を強化 迂回を警戒

2020/8/18 20:00
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台湾では中国に対する警戒感が強まっている(台北、5月)=ロイター

台湾では中国に対する警戒感が強まっている(台北、5月)=ロイター

【台北=中村裕】台湾当局は、中国大陸からの投資規制を早ければ10月から強化する。現在は中国資本が3割超の企業を中国大陸の企業とみなし、多くの制限を課している。ただ香港や第三国の企業を巧みに使い、中国資本を3割未満に見せて台湾に投資する例が多かった。安全保障の観点から法改正し、こうした迂回投資を防ぐ狙いだ。

経済部(経済省)が主導し、関連の「大陸地区人民来台投資許可弁法」を改正する。中国大陸の企業の定義を見直し、改正案を20日に発表する。

現行の法律では、例えば中国大陸の企業が関係の深い香港企業に4割出資し、さらにその香港企業が第三国の企業に4割を出資するスキームをつくった場合、第三国の企業は中国資本が16%入った企業とみなす。中国資本が「3割」に満たないため、多くの制限はかからず台湾に投資できた。

だが改正案では、こうした第三国の企業は中国資本が4割入った企業とみなし、多くの投資制限を課す。今後、規制回避のための迂回投資は認めないとの姿勢だ。

法改正の背景には、中国が迂回投資で台湾への関与を強めていることがある。安全保障上のリスクが増しているほか、特に技術流出を警戒する。台中関係が専門の台湾師範大学の范世平教授も「政府は、中国大陸からの投資で(半導体など)台湾のハイテク企業からの技術流出を懸念している」と指摘した。

さらに、すでに投資規制の対象となっている中国人民解放軍の関連企業に加え、今後は共産党や中国政府の関連企業の審査も厳格化し、投資の可否を判断する。審査過程では、これまで企業の董事会(取締役会)の役員を対象としたが、これも見直す。中国企業は社内の事実上の最高意思決定機関が董事会ではなく党委員会のため、同委員会も審査対象とする。

台湾当局はもともと安全保障の観点から中国資本の受け入れを長く拒んできた。しかし対中融和路線の馬英九政権が2009年6月、中国からの直接投資を解禁した。以降、台湾への投資は年2億~3億5千万ドルで推移した。

ただ、ここに来て風向きが再び変わった。習近平(シー・ジンピン)指導部が強める統一圧力や、香港国家安全維持法の施行で、台湾の警戒感は一段と強まった。

既に問題も起きている。台北市中心部に建設予定の超高層のツインタワー「台北双子星」の入札を巡っては、いったん香港系の企業連合が優先交渉権を獲得した。しかし19年6月に台湾当局が、同企業連合は中国大陸との結びつきが強いと判断。当局が優先交渉権を剥奪する事態となった。

ただ、台湾当局は香港企業について依然、外国企業と同じ扱いとしており、中国大陸の企業と同様の厳しい投資制限はかけていない。こうした点について、台湾師範大学の范教授は「米国は既に香港を中国と見なしている。台湾も法改正で今後同じ判断に進むだろう」と指摘した。

王美花・経済部長(経済相)も11日、台湾メディアに対し「今後、香港企業と中国大陸の企業をどう区別するのか重要な議題になる」と語った。

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