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短距離トップが国立で激突 23日、陸上セイコーGP

新型コロナウイルスの影響で5月から延期となっていた陸上のセイコー・ゴールデングランプリが23日に行われる。舞台となる国立競技場では初めての陸上競技会。海外の有力選手が参戦していた例年と違い、国内選手のみで争われるが、各種目でトップ選手が名を連ねた。

注目は男子100メートル。近年の日本短距離界を盛り上げているスプリンターが集い、日本歴代2位となる9秒98の自己ベストを持つ桐生祥秀(日本生命)や小池祐貴(住友電工)、約1年3カ月ぶりの復帰レースとなる山県亮太(セイコー)、多田修平(住友電工)、ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)が今季初めて激突する。

今季初戦の北麓スプリントで10秒04をマークして優勝した桐生=共同

東京五輪の延期や外出自粛など予期せぬ事態に見舞われながら順調な調整を続けているのが桐生だ。今季初戦となった1日の北麓スプリント(山梨県富士吉田市)決勝では追い風1.4メートルの条件で10秒04をマーク。「あまり(10秒)0台は求めていない」と満足していなかったが、昨秋の世界選手権以来となる実戦の走りは悪くなかった。10日の記録会でも練習の一環で200メートルに出場。余裕を持って20秒51で走り、収穫があったようだ。

緊急事態宣言中は自宅で筋力トレーニングに励み、人との接触を避けるために早朝や午後9時以降に走っていたという。本格的に練習を再開してからスタートの構えで腰の位置を低く前寄りに修正し、「8~9割イメージはできている」。土江寛裕コーチも上々の滑り出しに、「セイコーに向けてとてもいい足がかりになった」と語る。

ライバルと競う久々のレースとなれば、課題とするトップスピードも自然と上がるだろう。今季はサニブラウン・ハキームが持つ日本記録(9秒97)更新が目標。3年ぶりの9秒台を視野に入れる。

小池は1月から米国遠征を行い、自身初の室内レースとなる60メートルを経験した。昨季は100メートルで日本人3人目の9秒台を出しながら、世界選手権では100メートル、200メートル、リレーと不完全燃焼。「最高疾走速度とレースペースの考え方がうまくいけば記録は伸びる」と語っており、今季は一層の飛躍を期す。

ケガが完治した山県は昨年5月以来のレースで復活を目指す=共同

一方、復活を目指しているのが昨年5月以来の復帰レースとなる山県だ。昨季は肺気胸や背中の痛みに苦しみ、昨年11月には右足首の靱帯を断裂する全治3カ月の重傷を負った。受難のシーズンを過ごし、「なぜケガになったのか、不調だったのか。自分なりに向き合う時間を取れた。さらに成長するきっかけになる1年だった」と振り返る。

東京五輪の延期が決まった際は「多少なりとも気持ちの落ち込みはあった」というが、「技術を立て直したり、体を作り直したりする時間を確保できた。後悔のない1年にしたい」とプラスにも捉えている。現在はケガも完治。今季はできるだけ前傾姿勢で長く走ることを意識し、「技術的には手応えを感じている」と表情は明るい。

来年の代表争いを見据えて現在地を知る意味は大きい。10月の日本選手権に照準を合わせつつ、今大会は「冬季練習やコロナの期間で試したことを実践する場としてベストを尽くしたい」と意気込む。

フォームに安定感が出てきたケンブリッジ(右)は「(ライバルに)負けたくない」と話す=共同

ケンブリッジも近年の低迷から抜け出そうとしている。7月の東京選手権を10秒22で制し、「無駄な力を使わず、うまく100メートルを流れるように走れた」と納得の表情。昨年のシーズンベストは10秒20だったが、オフからフィギュアスケートの高橋大輔を指導していたトレーナーに師事。上半身と下半身の連動性が高まり、フォームに安定感が出てきた。

周囲のすすめで春から口元にひげを蓄え、気分も新たに自己ベスト(10秒08)の更新を見据える。レースをこなす体力を取り戻せば「もう一段上の走りができる」。2016年リオデジャネイロ五輪男子400メートルリレーの銀メダリストは「勝ちたいという気持ち以上に(ライバルに)負けたくない」と気を引き締める。

大阪選手権の男子100メートルを10秒46で制した多田=共同

7月の大阪選手権で"肩慣らし"をした多田は調整不足もあって10秒46。試合勘が戻っていない影響もあるようで、改善の余地を残す。29日には桐生や小池、ケンブリッジとともにナイトゲームズ・イン福井に出場予定。セイコー・ゴールデングランプリとの2戦で調子を上げたい。

11月までの記録は東京五輪の参加標準記録の対象にならない。ただ、五輪と同じ会場で開催されることを考えれば、無観客とはいえ雰囲気を感じられる貴重な機会になる。今大会は10月に新潟で行われる日本選手権の前哨戦とも位置づけられ、レベルの高い争いが期待できそうだ。

(渡辺岳史)

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