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赤羽・蒲田… 「のんびりテレワーク」にオススメの街

コロナの先の家計シナリオ 住宅ジャーナリスト 榊淳司

赤羽一番街商店街(写真=PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って広がったテレワークは、住みたい街選びにも影響を与えているかもしれません。家賃や住宅の価格が高くなく、買い物や食事が便利な「肩肘張らずに楽しめる街」を住宅ジャーナリストの榊淳司さんが紹介します。

◇ ◇ ◇

コロナは私たちの社会に様々なマイナスの影響をもたらしています。日本の4~6月期の国内総生産(GDP)の成長率は戦後最悪となり、飲食店は経営不振で閉店が相次いでいます。まもなく、企業の倒産や失業者の増加が数字となって表れてくるでしょう。

無理をしてまで都心に住む必要なし

しかし、数少ないながら、プラスの面もあります。そのひとつがテレワークの普及ではないでしょうか。都心のオフィスへ毎日通わなくても、それなりに業務も会議もこなせることに多くの人が気づきました。テレワークの普及は、オフィスの面積への需要を減退させます。すでに、この動きは都心のエリアにおけるオフィスの空室率の上昇となって統計数字に出てきています。

毎日出勤する必要がなければ、家賃やローンの返済で無理をしてまで都心に住む必要はありません。郊外の自然環境の良いところに居を構え、通勤に割かれていた時間を自分らしく過ごせるように切り替えるライフスタイルも可能になります。

サーフィンをしたい人なら神奈川の湘南や千葉の外房、山歩きが好きな人なら東京の高尾、それに東京ディズニーランドなど東京ディズニーリゾートの年間パスポートを買って千葉の浦安市あたりに住むという選択肢も現実的になります。

買い物や外食の選択肢が豊富、自然も

一方で「そういった目的はないけれども、ただのんびりと過ごしたい」という人も多いはずです。むしろ、何かの趣味や嗜好に偏らない生き方を選ぶ人が多数派ではないでしょうか。ここでは、そういう普通の「のんびり派」にお勧めの街をいくつか紹介しましょう。つまり、家賃やマンションの価格はそんなに高くはないけれども、買い物や食事などは便利で選択肢も豊富なので、街をぶらぶらするのに肩肘張らずに楽しめるところです。

まず、東京23区にこだわる場合は

・北区の赤羽・葛飾区の亀有や金町・江戸川区の小岩・大田区の蒲田・世田谷区の千歳烏山・練馬区の大泉学園・板橋区の大山や成増

といったエリアになります。

これらの街は駅前に商業施設が集積し、にぎわいがあります。街を歩いているだけで少し楽しい気分が味わえます。激安スーパーなどがあり、日常の買い物の選択肢も豊富です。家族で外食する場合でも、ファミリーレストランから地元の繁盛店までいろいろ選べるはずです。それでいて、少し離れると自然環境には恵まれています。

何よりも賃貸物件の家賃やマンションの価格が高くありません。さらにいえば、都心へのアクセスも悪くないので、たまの出社もほとんど負担を感じないはず。

なお、これらの街に欠けているものがあるとすれば、強いて言えば「高級感」でしょうか。このため、湾岸のタワーマンションを好むような人には向きません。

「駅歩10分」将来の売却には必要条件

もっと郊外に目を向けると、埼玉なら北浦和や南越谷、千葉なら柏や新浦安、神奈川なら川崎市の川崎区や麻生区の新百合ケ丘、都下なら調布、西東京市のひばりが丘あたりでしょうか。

これらの街で駅から徒歩10分以内のマンションを買っておけば、10年後に売る場合でもそれなりの評価が得られるはずです。将来、住宅を売却するつもりなら、「駅まで徒歩10分以内」の条件は守ってください。住宅の余剰が顕著になっているであろう10年後、20年後には「駅歩15分以内」まで検索範囲を広げてくれる買い手はほとんどいなくなっています。「駅歩10分以内」は必要条件です。

また、都心へ直接つながっているこれらの街に住めば、子どもが都心やその周辺の学校へ通う場合でも、さほど負担なく通学できるのではないでしょうか。

さらに、このような地域であれば、マイカーを所有するための駐車場にかかる費用を抑えられます。今までだったらマイカーを持っていても利用する多くは週末だったかもしれませんが、テレワークになればマイカーを日常的に活用できます。

郊外に住む大きなメリットの一つは、マイカーでの利用客を前提にした大型のショッピングモールを気軽に利用できることです。ただ買い物を楽しむだけでなく、シネマコンプレックスで映画を楽しんだり、スーパー銭湯でゆったりとリフレッシュしたりすることも身近な日常になりそうです。

住まいや街選びの基準、大きく変化

テレワークは多くのビジネスパーソンを居住地の「都心(あるいはその近辺)へのこだわり」から解放しました。これは日本にサラリーマン(戦前は「勤め人」と呼んでいました)という人生形態が登場して以来、百数十年ぶりの働き方の革命的な変化ではないでしょうか。

ただ、変化はまだ始まったばかりです。テレワークはどうやら定着しそうな気配ですが、すべてのビジネスパーソンに適用できるわけではありません。

また、郊外などへの移住もすでに確認できるトレンドにはなっていますが、不動産の価格を左右するほどの力強い流れになるかどうかは、今後の動き次第です。

しかし、これまでのように「多少狭くても都心に住まいを」という需要は確実に減退させるはずです。また、エレベーターや共用部で「3密」にならざるを得ないタワーマンションの需要も衰えそうです。

コロナ後、私たちは住まい選び、そして住みたい街選びの基準が大きく変わったことに気づくのかもしれません。その変化は足元で確実に始まっているのです。

榊淳司
住宅ジャーナリスト。榊マンション市場研究所を主宰。新築マンションの広告を企画・制作する会社を創業・経営した後、2009年から住宅関係のジャーナリズム活動を開始。最新の著書は「限界のタワーマンション(集英社新書)」。新聞・雑誌、ネットメディアへ執筆する傍らテレビ・ラジオへの出演も多数。

「ニューノーマル」「新常態」とも呼ばれる新しい生活様式が広がりつつあります。コロナで一変した家計の収入や支出、それに伴うお金のやりくりをどうすればよいかも喫緊の課題です。連載「コロナの先の家計シナリオ」は専門家がコロナ後のお金にまつわる動向を先読みし、ヒントを与えます。

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