日産・ホンダ、政府が統合模索 FT報道、関係者は否定

2020/8/17 21:01
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英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は16日、日本政府関係者が昨年末に日産自動車ホンダの経営統合を模索していたと報じた。日産や政府関係者は否定した。仏ルノーが筆頭株主の日産は政府を巻き込んで経営の独立を保ってきた。政府内にはかねて国内メーカーの統合で自動車産業を守ろうとする考えもあり、政府主導の再編論が浮上する可能性もある。

報道によると、統合案は2019年末に政府関係者から両社へ提案された。ホンダは日産とルノーとの複雑な資本関係を理由に反対。日産も日仏連合の再建を軌道に乗せることに注力していると拒否した。統合案は両社の取締役会で検討されることなく、立ち消えになったという。

報道について日産の広報担当者は「コメントしない」、ホンダも「何も答えられない」とした。別の日産関係者は「事実ではない」とも語り、政府関係者も「(統合に向けた)働きかけはしていない」と否定した。

ただ、43%の株式を握るルノーを筆頭株主に持つ日産は経営の独立を維持すべく日本政府に働きかけてきた経緯がある。政府内には電気自動車(EV)などの先端技術で先行する日産を外資に渡したくないとの考えがあり、双方の思惑は一致している。

実際、ルノーの筆頭株主で15%を出資する仏政府は自国産業を育成するため、ルノーを通じて日産を影響下に置こうと模索してきた。仏政府は14年、株式を2年以上持つ株主に2倍の議決権を与える「フロランジュ法」を制定。ルノーに対する議決権を倍増させて経営に介入する構えを見せたことで日本政府内に警戒感が強まったとされる。

18年11月に両社の会長だったカルロス・ゴーン被告が逮捕されると、日仏連合の主導権争いが表面化した。19年には仏政府の意向を受けたルノーが日産に統合を打診し日産は拒否していた。その後、資本関係見直しの議論を棚上げしたが日仏両政府を巻き込んだ再編論はくすぶり続けている。

日産はゴーン被告が進めた北米や新興国での拡大戦略が行き詰まって業績が悪化している。21年3月期の連結最終損益も6700億円の赤字と、前期(6712億円の赤字)に続いて2期連続の巨額赤字を見込む。一方のホンダも不振が続く。20年4~6月期は新型コロナウイルスの影響もあり最終赤字だった。乗用車事業が特に低迷している。

自動車産業は次世代車に巨額の開発費がかかるなど経営体力が競争力に直結する。日本勢ではトヨタ自動車の一人勝ちが鮮明だ。コロナ禍で世界の新車市場が縮む中、販売台数などの体力で劣る日産やホンダを外資からいかに守るか。政府主導の再編論が今後もくすぶり続ける可能性もある。

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