漆染めマスク コロナ鎮まれ 盛岡と浅草の神社に奉納
漆を活用した新商品の開発に取り組んでいる浄法寺漆産業(盛岡市)などは、「新型コロナウイルス感染症早期終息祈願祭」として抗菌性の高い漆で染めた布マスクと岩手県内で採取した漆を東京・浅草の浅草神社と桜山神社(盛岡市)に19日に奉納する。

漆染めは、職人が漆の木の樹液を採取する「漆掻(か)き」が終わった木の芯の部分を使って草木染の技法で染め上げるもので、かぶれる成分を含まないのが特徴。これまでは漆掻きが終わると伐採して廃棄していた。漆の抗菌力をアピールするとともに、漆染めの普及で資源の有効利用にもつなげたい考えだ。
同社は黄、カーキ、ダークブラウン、青い「青漆」の4色の漆染めマスクを販売している。このうち黄色のマスクを、東京都内などで同社製品を販売する「FEEL J」(東京・中央)などと浅草神社に13枚、桜山神社に8枚を、生漆約50グラムとともにそれぞれ奉納する。
浅草神社は総漆塗りによる権現造り風の木造建築で修復などに国産漆が使われている。桜山神社は漆の増産に取り組んだ盛岡藩を治めた南部氏ゆかりの神社であり、国産漆との縁が深いことから、奉納先に選んだ。
漆染めマスクは綿とポリエステルが素材で、東京都内の染色会社と開発。漆の塗膜には抗菌性があることが知られているが、浄法寺漆産業は漆染めにも抗菌性があることを確認した。都内の試験研究機関で分析したところ、一般社団法人「繊維評価技術協議会」が定める認証基準を満たしただけでなく、10回洗ったときに抗菌効果がさらに高まることも判明したという。
同社は7月から漆染めマスクをネットなどで販売。耳にかけるひもがついたフリーサイズのタイプ(税込み2300円)と、ひも部分を一体化したタイプ(M・Lの2サイズ、同2400円)を展開している。
いずれも約1カ月待ちの人気で、松沢卓生社長は「コロナの流行収束とともに、岩手の漆の認知度が全国的に高まり、資源の有効活用で持続可能な産地づくりに一役買えれば」と話している。

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
-
【よく読まれている記事】
- 新型コロナウイルスは体内にいつまで残るのか
- 「コロナに決してかからない人」はいるのか?