井筒屋 黒崎店が閉店、小倉店軸に生き残り

井筒屋は17日夜、黒崎店(北九州市)を閉店した。黒崎店が入居する商業ビルが経営破綻したためだが、井筒屋は業績不振を理由に同店閉店を一度決め、撤回した経緯がある。インターネット通販などとの競争激化で百貨店の経営環境は厳しい。今後は小倉店(同市)に経営資源を集中し、生き残りを目指す。
井筒屋黒崎店は2001年、前年に撤退した同業の「黒崎そごう」を引き継ぐ形でJR黒崎駅前に移転した。移転前を含めて62年間、地元客に親しまれてきたが、売上高は04年2月期の226億円をピークに低迷。直近では半分以下に落ち込んでいた。
17日は多くの買い物客が訪れた。70代の女性は「時代の流れで仕方無いかもしれないが、寂しい」と閉店を惜しんだ。近隣で飲食店を営む男性店主は「00年以降、小倉駅前はきれいになったが、黒崎駅前は地盤沈下が進んだ」と先行きへの不安を口にした。
地方の百貨店は、神奈川県を地盤とするさいか屋が21年の横須賀店閉店を決めるなど、全国で縮小が相次ぐ。井筒屋は18年に宇部店(山口県宇部市)、19年に小倉駅前の商業施設「コレット」を閉鎖。今後は小倉店と山口店(山口市)の2店体制となる。
小倉店は20年2月期に改装効果で売上高が前の期比1割増えたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け今期は業績悪化が避けられない情勢だ。