関電の報酬補填、注意義務違反3人認定 追加提訴検討

2020/8/17 16:33
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記者会見を終え、一礼する関西電力の彌園豊一副社長(右から2人目)ら(17日、大阪市)

記者会見を終え、一礼する関西電力の彌園豊一副社長(右から2人目)ら(17日、大阪市)

関西電力が東日本大震災後に減額していた役員報酬の一部を退任後に嘱託報酬などとして補填していた問題で、関電が金品受領問題を受けて新設した「コンプライアンス委員会」(委員長・中村直人弁護士)は17日、調査報告書を公表した。2015年10月ごろに森詳介会長(当時)の指示で検討が始まったとし、森氏ら3人について取締役としての善管注意義務違反を認定した。(蓑輪星使、増野光俊)

民法で、取締役は会社に対し「善良な管理者の注意」で職務を遂行する義務(善管注意義務)があるとし、違反した場合は会社に賠償する責任が生じると会社法で規定する。報告書は嘱託報酬について、意思決定に「著しい不合理さが認められる」と批判。金品受領問題が発覚しなければ、最も高額の補填を受けるのは森氏と当時社長だった八木誠前会長だったと指摘した。

森氏と八木氏のほかに注意義務違反を認定したのは、秘書室担当の取締役常務執行役員だった八嶋康博前常任監査役。関電は既に森氏、八木氏ら旧経営陣5人に損害賠償請求訴訟を起こしており、八嶋氏への追加提訴も検討すると明らかにした。

報告書は、嘱託報酬が役員報酬の後払いといえるか断定は避けたうえで、森氏ら3人が取締役の報酬などについての会社法の規定に違反する可能性を指摘した。これとは別に、金品受領問題で発生した追加納税分を補填した問題で、岩根茂樹前社長の注意義務違反も認定した。

関電側は対象者に「世間的に誤解を生むおそれもあるため、嘱託委嘱については本人限りでお願いする」と説明していたといい、報告書は「明らかになった場合には非難されることを強く意識していた」と述べた。

報告書などによると、同社は震災後の業績悪化に伴い、12年3月~19年6月に役員報酬を計19億4千万円カット。業績が回復した16年7月~19年10月、常務執行役員以上の退任者18人に対し、計約2億6千万円を支払った。発覚を受け、既に全額の返還を受けている。

関電は13年度と15年度の2度にわたり、電気料金の値上げを実施した。関電の社員は震災後の賃金が約5%減額され、賞与も16年夏分まで7回見送られた。

コンプラ委、改善策提言

関西電力のコンプライアンス委員会は17日に公表した調査報告書で、報酬補填問題の再発防止に向けた改善策を提言した。企業統治(コーポレートガバナンス)や法令順守(コンプライアンス)など大きく4項目について、経営陣の意識改革や透明性の確保などを訴えた。

幹部が年間の稼働見込み時間の5%(100時間)程度を企業統治に関する研修に充てることを提案。社外取締役に重要情報の報告を徹底するなど、適切な監督機能を果たせる体制づくりも求めた。こうした施策について「定期的なモニタリングの継続が必要だ」とした。

関電の弥園豊一副社長は同日の記者会見で「このような事態が二度と発生しないよう、再発防止に向けた取り組みに生かし、実効性を高めていきたい」と述べた。

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