戦没者追悼、影を落とすコロナ禍 参列見送り相次ぐ

戦後75年
2020/8/15 10:32 (2020/8/15 14:36更新)
保存
共有
印刷
その他

全国戦没者追悼式で黙とうする参列者(15日、東京都千代田区の日本武道館)

全国戦没者追悼式で黙とうする参列者(15日、東京都千代田区の日本武道館)

75回目となる「終戦の日」を迎えた15日、今年も戦没者を悼む行事が各地で開催された。今年は新型コロナウイルスの影響で、例年より大幅に規模が縮小され、参列を見送る遺族が相次いだ。大きく様変わりした祈りの現場で、それぞれが平和への思いを新たにした。

「来られなかった遺族の分も受け止めて参列したい」。東京都八王子市の村上佐弥香さん(51)は長野県の遺族代表として日本武道館(東京・千代田)の全国戦没者追悼式に臨んだ。

昨年は100人だった長野県の参列予定者は今回わずか3人。長距離移動による感染リスクを考慮し、都内在住の遺族が同県を代表して参列する形式をとった。

村上さんは、当初参列を予定していた佐久市に住む両親の代理を務めた。フィリピンのレイテ島で戦死した祖父を弔うため、遺族会活動に熱心に取り組む父の姿を見てきただけに「特に8月15日は哀悼の思いが強まる」。最近は感染対策で都心部への移動を避けていたが「追悼行事への参列は『不要不急』ではない」と話す。

例年、追悼式には約5千人の遺族が全国から参列しているが、今回は過去最少の193人にとどまった。式直前になって遺族の参列中止を連絡してきた自治体もあり、参列者ゼロは計20府県に上った。

香川県の長寿社会対策課は「東京都で連日のように400人超の新規感染者が確認され、直前になって断念した遺族もいた」と説明する。

全国戦没者追悼式に15年連続で参列してきた長崎県連合遺族会会長の山下裕子さん(78)は今回、感染予防のため欠席を決めた遺族の一人。「戦争の経験を語り継ぐためには、私たちが長く元気でいなければ」と自身に言い聞かせた。

山下さんの父はインドネシアのセレベス島で37歳で戦死した。母は自分の着物を売ったり行商をしたりして女手一つで家族を養った。「毎年8月15日は両親に感謝する日。どこにいても慰霊の心は変わらない」。今年は地元の神社を参拝する。

各地の追悼行事もコロナ禍への対応を余儀なくされた。

滋賀県彦根市の護国神社では戦没者を追悼するため終戦の日に行う「みたま祭り」の内容を変更し、恒例のちょうちん点灯をとりやめた。

約5千のちょうちんに明かりがともる光景は市民らにも親しまれてきた夏の風物詩。感染防止対策とはいえ、主催する県遺族会は「ちょうちんは情緒があり、楽しみにしていた人も多い。慰霊行事は例年通り行うが、どれだけ人が集まるだろうか」と懸念する。

群馬県はALSOKぐんまアリーナ(前橋市)で開く県主催の戦没者追悼式の規模を大幅に縮小。例年1700人ほどが参列するが、今回は約200人に絞った。担当者は「高齢者が多いので感染対策には気をつけないといけない」と話した。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]