ベラルーシ、拘束の雇い兵32人をロシアに引き渡し
【モスクワ=小川知世】ロシア検察庁は14日、ベラルーシで治安当局が拘束したロシア企業の雇い兵とされる32人の身柄が同国に引き渡されたと発表した。ベラルーシでは独裁体制を敷くルカシェンコ大統領の6選への抗議が続き、欧米も非難を強めている。同氏は早期の身柄引き渡しで、同盟国ロシアとの関係修復を急ぐとみられる。

ベラルーシは7月下旬にロシアの民間軍事会社「ワグネル」の雇い兵33人の拘束を発表し、9日投票の大統領選を前に騒乱を画策した疑いで捜査していた。33人のうちベラルーシ国籍を持つ1人は同国にとどまった。
背景にはルカシェンコ氏の危機感がありそうだ。同国では9日から大規模な反政権デモが続く。14日には首都ミンスクで政府庁舎前に市民が集まり、選挙不正などに抗議した。武力で抗議の鎮圧を図った政権に対し欧州連合(EU)も制裁を決め、同氏は政権維持へロシアの支持をつなぎ留めたい考えとみられる。
抗議が収まる兆しはない。中央選管は14日、ルカシェンコ氏の得票率が80%、反体制派の対立候補チハノフスカヤ氏が10%とする開票結果を確定した。政権の圧力を受けてリトアニアに出国した同氏は不正があった選挙の結果を認めないと改めて表明し、15、16日に抗議集会を呼びかけた。
窮地に立たされたルカシェンコ氏の国外脱出や体調不良を疑う観測も浮上している。同氏は14日の会議で「まだ生きているし、国外にもいない」と否定した。抗議拡大の裏に欧州やロシアの反体制派の介入があると主張し、「国への侵略が始まっている」と訴えた。