マレーシア、4~6月期はマイナス17%成長
【シンガポール=岩本健太郎】マレーシア中央銀行が14日発表した4~6月期の実質成長率は前年同期比でマイナス17.1%だった。新型コロナウイルス抑制のため経済活動を大きく制限した影響で、1990年代後半のアジア通貨危機当時を上回る縮小幅となった。

四半期ベースの実質成長率がマイナスになったのは約11年ぶり。中銀によると、アジア通貨危機の影響が最も大きかった98年10~12月期(マイナス11.2%)以来の大幅縮小になった。1~3月期は実質0.7%のプラス成長だった。
マレーシアでは3月中旬に国境を封鎖し、外出や企業活動を厳しく規制した。5月に一部緩和したものの、6月までは長距離の移動や国内観光が禁止され、個人消費や公共投資を押し下げた。
産業別では、国内総生産(GDP)の6割を占めるサービス業が16.2%減、2割の製造業が18.3%減。建設業や鉱業も大幅に縮小した。
中銀のノル・シャムシアー総裁は14日のオンライン記者会見で「最悪の時期は過ぎた。国内経済は今年後半から徐々に回復する」との見通しを示した。2020年の通年の実質成長率は「マイナス3.5~マイナス5.5%」と予想。21年は「5.5~8%」のプラス成長に転じると述べた。
中銀は今年、4回利下げし、19年末に年3%だった政策金利は1.75%に低下した。ムヒディン首相は3月、2300億リンギ(約5兆8千億円)の追加経済対策を打ち出した。17日には経済面でつながりの深い隣国シンガポールとの間の移動が一部再開する予定だ。同国への通勤が容易になる。