アフリカ、深まるファーウェイ依存 米の排除方針と一線

ファーウェイ
2020/8/14 19:27 (2020/8/15 5:17更新)
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【イスタンブール=木寺もも子】アフリカ諸国が中国のハイテク製品への依存を深めている。7月に次世代通信規格「5G」専用のサービスを開始した南アフリカは中国の通信機器最大手華為技術(ファーウェイ)の設備を採用した。中国製品の排除を求める米国と一線を画す動きが各国で目立つ。

南アフリカの通信大手レインがファーウェイの設備を使い、アフリカ大陸で初めて5G専用通信網のサービス提供を始めた。4Gと併用する通信網と比べ、通信が安定するなどの利点がある。

7月にファーウェイが主催したオンラインイベントではアフリカ勢の姿が目立った。南アのヌダベニ・アブラハムス通信相は、新型コロナウイルスの感染拡大でデジタル化は重要性が増しているとして「人々のアクセスを確保するため、ファーウェイを含むさまざまな大手事業者と協力している」と述べた。

参加企業の一つ、ケニアの通信最大手サファリコムも5Gのインフラ整備でファーウェイ製品の採用を検討する。マイケル・ジョゼフ最高経営責任者(CEO)は2月、ロイター通信に対し「ファーウェイを使うだろう」と述べた。

米国は情報漏洩の危険などを理由にファーウェイ製品の排除を各国に求めている。英国やオーストラリア、日本はファーウェイ製品の排除に乗り出しているが、13億人の人口を抱えるアフリカ大陸での浸透は不可逆と見られている。

南アに拠点を置くアフリカのIT(情報技術)市場調査会社、ワールド・ワイド・ワークスのアーサー・ゴールドスタック社長によれば、アフリカの4G基地局の7割はファーウェイ製で、5Gへの転用を考えれば脱ファーウェイは非現実的という。欧州ではノキア、エリクソンなど欧州勢への切り替えが進むが、ファーウェイに比べてコストがかさむ。

米政府は国防権限法に基づき8月13日から、ファーウェイなど中国5社の製品を使う企業からの調達を停止した。ただ米政府との取引実績が少ないアフリカ勢への抑止効果は期待しにくい。

米国の制裁対象に含まれるファーウェイ以外の中国勢もアフリカで存在感を強めている。中興通訊(ZTE)は1月、通信大手MTNと組んでウガンダで5Gの試験運用に乗り出した。

高い顔認証技術を持つ監視カメラの杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)は南アフリカ、セネガル、ケニアなど各国で広く利用されている。

政府が国民の監視に中国製品を積極的に活用している面もある。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は昨年、ウガンダやザンビア政府が反政府活動家らの通信を傍受するためにファーウェイから協力を取り付けた可能性を報じた。

中国の対アフリカ投融資も中国製品を後押しする。カメルーンで7月に完成した政府の大型データセンターには政府系の中国輸出入銀行が融資しており、ファーウェイが機器を納入する。

国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、18年の中国のアフリカ向け直接投資残高は460億ドル(約5兆円)に上る。南アなど多くの国にとって最大の貿易相手国だ。インフラ整備資金などの出し手でもあり、中国の影響力が高まっている。

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