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関西風たこ焼き、銀座でつまみ夏祭り気分 お薦め3店

銀座で正統派の関西風たこ焼きを提供する「銀座ふくよし」

自粛解除後3カ月経っても、先行きが見えない現在の生活。はっきり言えるのは、今年の夏休みは従来のようには楽しめないということだ。夏祭りや盆踊り、花火大会など楽しい夏の恒例行事は軒並み中止。東京在住者は帰省や旅行もままならず、仕方ないとはわかっているが、ちょっと寂しい。ならば、別の形でゆるく夏気分を味わうのはどうだろう。キーワードは「たこ焼き」だ。

たこ焼きは年中食べられる料理だが、こんがり焼けた生地にソースとカツオ節が乗ったあの姿を思い出すと、脳内がなんとなく"祭り気分"になる。実は東京のど真ん中、銀座には関西人も納得するハイレベルのたこ焼き店がそろっていることをご存じだろうか。たこ焼き店ならば、さくっと食べて店内滞在時間も短くて済むし、もちろんテークアウトができて、3密対策は万全だ。そんな、銀座エリアの人気店たこ焼き店3店を紹介する。

「銀座ふくよし」には昼夜問わず様々な客が訪れる

1店目は銀座3丁目にある「銀座ふくよし 銀座本店」だ。地下鉄銀座駅から数分、いかにも「たこ焼き店」なポップな外観が登場。銀座で肩の凝らない店構えにはホッとする。出すのは正統派の「大阪のたこ焼き」だ。生地のだし用のカツオ節は築地の仲卸店から仕入れ、濃厚なだしを使うことでソースなしで食べてもおいしいたこ焼きができるという。タコは福島の専門業者から厳選し、ゆでずに「蒸して」入れる(歯応えがよくなる)。ソースは大阪の専用メーカーから取り寄せるなど素材のクオリティーには徹底的にこだわっている。「東京で一番おいしいたこ焼きを食べられる店」として地方や、関西から食べにくる客もいるという。

さっそく注文してみよう。「ジンジャーハイボール」(510円・税別)を飲んで待つこと15分。アツアツ、焼きたてのたこ焼き3種(「そのまんま」「ぜんぶのせ」各590円、「タバモッツァ」680円、すべて8個入り・税込み)と同店名物の「イカ焼き」(450円・税込み)が運ばれてきた。

食べようとして驚いた。たこ焼きを箸で持ち上げると、ボールのように硬く焼き固められていると思っていたのだが、非常にソフトで繊細なのである。実はこれは関西風の焼き方ゆえ。諸説あるが、焼く際の油を極力控え、火加減をうまく調整して表面はカリッと、中はとろけるようなふわふわの食感を作り出すのが関西風のたこ焼きなのだという。

「銀座ふくよし」のたこ焼きは、焼く際の油を極力抑えた繊細でやわらかい関西風だ

銀座ふくよしのたこ焼きもこれを踏襲しているため、ふっくらした軟らかい口当たりだ。その繊細な食感を楽しんだ後、だしの良い香りが鼻に抜ける。なんともおいしい。「そのまんま」はたしかに何も付けずに食べても生地だけで美味。

添えてある塩を付けなくても酒とつまめるくらい味は濃厚だ。ソースやかつお節をたっぷりのせた「ぜんぶのせ」は、これはこれで生地とぴったり。女性客に人気だという「タバモッツァ」は「タバスコ」の辛さとまろやかなモッツァレラチーズの組み合わせがハマる。

最後にイカ焼きを。たこ焼きと違い、より弾力のある生地で、イカをオムレツのように包んで焼き上げたもの。むちっとした生地にイカの歯ごたえ、濃厚なソース、マヨネーズの塩気と、すべての調和がたまらない。

「うちは午後2時から(土日祝日は午後1時から)夜まで通し営業をしていますが、お客様は20~50代と幅広いです。小腹を満たしたい方、昼からたこ焼きで飲みたい方、仕事の打ち合わせをされる方など様々ですね」と店長の福田純也さん。

まだ明るい午後の取材中、会社員風の女性、ビジネスマン、大学生がひっきりなしに訪れていた。多様な客が、昼過ぎからたこ焼きをうまそうにほお張る姿を見ていたら不思議な気分に。ここは銀座なのか、大阪なのか……。

「たこ焼きの概念が変わる」と客に評判の「8864(ハッパロクジュウシ)」

2店目は、銀座からも歩けるがやや新橋より、「8864(ハッパロクジュウシ)」だ。コンセプトは「お酒が飲めるたこ焼きダイニング」。店内はおしゃれなスペインバルのような雰囲気で、たこ焼きを焼く鉄板の対面にはずらりとワイングラスが並んでいる。ビールやハイボール、カクテルのほか、ワインもグラスとボトル(約30種)をそろえる。まさに酒と楽しめるたこ焼き店だ。

たこ焼きは、こちらも油少なめでふわりと焼く純関西風。定番メニューの「素焼き」「しお」「ソース」(各6個入り500円・税別)と季節メニューの「きざみわさびマヨ」(各6個入り600円・税別)を、お薦めのスパークリングワインと味わってみた。生地は軟らかく、時間がたつとしぼんでいくが、食感はふわっふわ。たこ焼きというよりクリームコロッケの中身を食べている感覚だ。何も付けずに味わうのが「素焼き」。

「ソース」でほんのり甘めのソースと食べても美味。また「しお」はネギの辛味やコショウの辛みがだしの効いた軟らかい生地を引き立てる。シュワシュワのスパークリングワインと合わせて箸が止まらない。筆者が長年「たこ焼き」だと思っていた食べ物とは別物のようだ。店長の野一元(のいちはじめ)さんに感想を伝えると、「うちで食べて『たこ焼きってこんなにおいしいんだね』とおっしゃってくださるお客様は多いです」とはにかむ。

「8864」では、クリーミーな生地でワインが進むたこ焼きを提供

しかし、どうやってワインとたこ焼きのペアリングを思いついたのだろうか?

「うちの生地のクリーミーさは白ワインに合いますし、塩で食べるたこ焼きはスパークリングワインと、ソースをかければ赤ワインとも相性が良い。またたこ焼きも具材を変えれば大きく変化するので、ブドウの品種や産地別にバラエティー豊富なワインとの組み合わせは無限大なのです。『たこ焼きにはビールかハイボール』と決めるのはもったいないですし、今後もいろいろ挑戦して『たこ焼き=関西のB級グルメ』という世間のイメージを崩していきたいです」(野一さん)

銀座8丁目のクラブ需要やサラリーマンにも人気「元祖どないや 銀座店」

3店目は銀座のまさにど真ん中、銀座8丁目のクラブ街にある「元祖どないや 銀座店」だ。銀座の中心だが提供するのはもちろん、純関西風のたこ焼きだ。大阪・梅田に本社があり、大阪近郊をはじめ北海道から沖縄まで全国の支店で提供している。だし(カツオベース)や大ぶりのタコなど素材にこだわり、焼き方もふわっと軟らかく仕上げる。ユニークなのは生地に使う粉の製造方法。いかにも大阪流らしく、オリジナルのミックス粉を作る際、"漫才を聞かせながら"ブレンドすることでよりおいしいタコ焼きの元ができるそうだ。

同店の人気のたこ焼き上位3メニュー「ソース」「しおマヨネーズ」(各750円・税込み)「明太子マヨネーズ」(850円・税込み)をビールと一緒に味わう。漫才の効果(?)は分からないが、カツオだしが香る軟らかい生地が、ギリギリのところでコシを残し球状を保っているような繊細さでとてもおいしい。ソースやマヨネーズの濃厚な味、めんたいこの辛さとも合って、何個でも続けて食べられそうだ。

場所柄、店近隣の高級クラブへのデリバリー需要や、同伴時に利用する客が中心だが、サラリーマンが一人でたこ焼きをつまみながら飲んだり、自宅に持ち帰ったりするケースも多いそう。「飲み会前の軽い腹ごなしで寄ったつもりが、タコ焼きがおいしくて注文しすぎて、満腹になってしまった」というネットの口コミもあった。

店長の加藤優さんによれば、「デリバリーはクラブのほか、銀座周辺のオフィスビルなどへの配達注文も結構あります」とのこと。張り詰めた会議の後、できたてのおいしいたこ焼きが到着したら、一気に気持ちがほぐれそうだ。

ちなみに同店では「浪花かすうどん」(各種900円~・税込み)も提供。牛ホルモンを使った大阪の名物うどんで、コクのあるスープにもちっとした麺がなかなかおいしい。ビールとたこ焼きを楽しんで、かすうどんでしめる男性客が多いというのも納得だ。

以上、銀座エリアで人気のたこ焼き店3店を紹介した。口当たりが軽くふわふわの生地にまず衝撃を受け、たこ焼きとはソースを付けなくても十分おいしい料理であること、酒との相性の良さ、しかも粉モノなのにどの店でも腹が膨らみすぎず、しみじみ満たされるのにも驚いた。B級グルメどころか、そこはかとなく奥深い食べ物なのである。今回紹介した店はすべてテークアウトも可能。コロナ禍でイベントも縮小がちなこの夏、「銀座でたこ焼き」でリフレッシュしてみては。

(フードライター 浅野陽子)

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