外食7割が最終赤字、外出自粛で客数減 13社の4~6月
郊外店は回復の兆し 都市部は苦戦続く
新型コロナウイルスの影響で、外食企業の業績が悪化している。休業や外出自粛で売り上げが減少し、2020年4~6月期は大手の7割が最終赤字となった。郊外では客足が戻りつつあるが、都市部では在宅勤務の定着で回復が鈍い。大人数で利用するファミリーレストランが、ハンバーガー店に比べ低迷が続くなど、業態間での格差もでている。

「ビジネスモデルの極めて大きな変革が迫られている」(谷真社長)。すかいらーくホールディングスが13日発表した20年4~6月期の連結最終損益は191億円の赤字(前年同期は26億円の黒字)に転落した。
「ガスト」や「ジョナサン」といったファミレスは客数が大きく減少した。強化した宅配や持ち帰りは増えたが、売上高は前年同期比44%減に落ち込んだ。
13日までに決算を発表した時価総額500億円以上の外食13社の4~6月期を集計した。9社が最終赤字、3社が最終減益だった。増益は、日本マクドナルドホールディングスだけだった。
ファミレスと並んで厳しい状況なのが居酒屋だ。13日に決算を発表したコロワイドは、最終損益が41億円の赤字(前年同期は3億7500万円の黒字)になった。緊急事態宣言を受けた4~5月の店舗の休業に加え、宣言解除後の6月になっても宴会の自粛が続き、「甘太郎」などの居酒屋が苦戦した。
減益だが赤字は免れた3社に共通するのが、持ち帰りだ。王将フードサービスは4月の持ち帰りが売り上げの4割を占めた。増益だった日本マクドナルドはドライブスルーが伸びた。「外出を控える動きは続いている」(下平篤雄副社長)ことで、店内の客席利用は伸び悩んでいるという。
製造業などに比べて企業規模の小さい外食産業は、不況への対抗力が弱いとされる。岡三証券の高田創氏による新型コロナの影響の大きい「コロナ7業種」で、飲食サービス業は資金繰りの耐久力が18年度で0.47年分と宿泊業(0.56年分)、医療・福祉業(0.75年分)に比べ低い。売り上げの低迷が続くと、資金繰りへの影響も大きくなる。
売り上げの回復は業態だけでなく、立地の違いによっても差が出始めている。
アークランドサービスホールディングスが運営するとんかつ店「かつや」は9割が郊外にある。客足が戻ったことで、7月の既存店売上高は前年同月比6.9%増と、プラスに転じた。郊外に5割以上の店舗がある、ゼンショーホールディングスが運営する牛丼店「すき家」の7月の既存店もプラスとなった。
逆に郊外店舗が手薄な企業は苦戦が目立つ。同じ牛丼店でも、郊外が3割強にとどまる松屋フーズホールディングスの7月の既存店は11.6%減となった。6月に比べて改善したが、在宅勤務の定着でオフィス街にある店舗の売り上げは戻っていない。
足元では感染者が再び増加するなど、新型コロナの収束に時間がかかることを踏まえると、抜本的な改革も必要となる。
すかいらーくの谷社長は「外食そのものの回数が減る中で、利用目的のはっきりした業態は落ち込みが小さかった」と業態転換を急ぐ。全国の1140のガストの店内に、別ブランドの唐揚げ店を開く。ピザやすしの宅配にも参入する。
株式市場は「(外食企業の間で)今後の出店能力に差が開いていく」(SMBC日興証券の皆川良造氏)と、回復力を見極めようとしている。19年末の株価と比較すると、アークランドサービスは4%上昇しているが、すかいらーくは25%安だ。牛丼チェーンではゼンショーは1割強の下落だが、松屋フーズは20%超の下落が続いている。
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