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大王製紙など製紙6社の4~6月期、コロナで明暗

新型コロナウイルスの影響を大きく受ける製紙大手6社の2020年4~6月期決算は明暗が分かれた。ペーパータオルなど衛生用紙に強い大王製紙が最終増益を達成した一方で、在宅勤務の普及などが逆風となって残る5社の業績は悪化した。収益構造の転換に向けた決断の必要性が一段と高まっている。

大王製紙の連結純利益は前年同期の2.6倍にあたる59億円で、4~6月期の過去最高を更新した。ペーパータオルや除菌用ウエットティッシュといった衛生用紙の販売が大きく伸びた。

「エリエール」ブランドを持つ同社は売上高に占める衛生用紙の比率が高い。18年に川之江工場(愛媛県四国中央市)と製品加工工場(埼玉県行田市)で約240億円を投じティッシュペーパーなど衛生用紙の設備を新設するなど、印刷用紙からシフトを進めてきた。足元でも、もう一段の事業強化に動いている。

川之江工場と可児工場(岐阜県可児市)に約200億円を投じ、衛生用紙の設備を増強する。川之江工場では衛生用紙の生産を月間で約4500トン分増強し、能力を現状の約2倍に高める。21年9月の稼働を目指す。

このほか高齢化で需要が伸びる紙おむつ向け材料にも力を入れる。印刷用紙などの設備を改良し、22年9月から同社で初めてフラッフパルプを生産する。品川舟平経営企画部長は「今後も需要が伸びる品種への転換を目指す」と話している。

一方で、他社の業績は厳しい。以前から進むオフィスでのペーパーレス化に加えてコロナ対応で在宅勤務が広がり、様々なイベントが中止になった。これで収益源の中心を占めていた印刷用紙や情報用紙の関連需要が急減してしまった。

王子ホールディングス(HD)の4~6月連結純利益は印刷・情報用紙などの販売減が響き、前年同期比82%減の21億円だった。日本製紙は4~6月期の最終損益が37億円の赤字(前年同期は41億円の黒字)に転落した。売上高の約7割を占める紙・板紙事業の売上高が1346億円と、18%減少したことが大きい。

13日に発表した三菱製紙の4~6月期の最終損益は16億円の赤字(前年同期は11億円の赤字)だった。レンゴー北越コーポレーションの純利益も前年同期比で2ケタ減益だ。レンゴーは自動車部品など産業用段ボールの需要が落ち込んだ。

紙需要の減少は製紙業界全体の深刻な課題だ。日本製紙連合会(東京・中央)によれば1~6月の紙・板紙の国内出荷量(速報値)は前年同期比10%減の1063万トンだった。減少幅はリーマン・ショック後の09年以来という歴史的な水準に落ち込んでいる。「徐々に在宅勤務は解除されているが、本格的な回復の時期はまだ見通せない」(野沢徹会長)という。

各社は海外に活路を求め、王子HDやレンゴーは東南アジアを中心に海外投資を拡大する。王子HDはマレーシアでの段ボール新工場の建設を発表しており、レンゴーはフィリピンの製紙会社への出資を決めた。年内に現地の段ボール生産設備を増強する考えだ。

新型コロナは国内の印刷・情報用紙などに頼る収益構造からの転換を各社に迫っている。衛生用紙など成長性が高い事業へのシフトや海外開拓など、複数の選択肢からどれを選ぶか。コロナへの対応策は、各社が生き残れるかを左右するほどの重い経営判断となる。

(魚山裕慈)

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